デジタル大辞泉
「焼鈍」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
しょう‐どんセウ‥【焼鈍】
- 〘 名詞 〙 金属を再結晶温度以上に加熱し、その後に冷却してやわらかくする熱処理。冷却速度は金属によって異なるが、多くの場合ゆっくり時間をかけて冷却しなければならない。やきなまし。〔英和和英地学字彙(1914)〕
やき‐なまし【焼鈍】
- 〘 名詞 〙 金属やガラスなどを適当な温度に熱したのち、徐々に冷却する操作。ガラスの場合は組織を均一化して、内部ひずみを取り除くために行なわれ、金属の場合は硬度を下げるために行なわれる。しょうどん。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
焼鈍
しょうどん
annealing
焼きなましともいう。金属材料を高温に保持したのち徐冷する熱処理。作業は焼戻しと似るが,析出などの効果を期待しない点が異なる。材料の種類,状態,目的により保持温度,時間は多様であるが,次のように大別される。
(1) ひずみ取り焼鈍 冷間加工,鍛造,圧延,鋳造などで生じた内部ひずみを除去する処理で,鋼材にも非鉄金属にも適用される。一般に低温で行うので低温焼鈍ともいう。普通鋼材で温度 650℃,保持時間 30分~数時間の程度。
(2) 中間焼鈍 加工過程中に再結晶を促し,それにより内部ひずみを解消するとともに軟化,結晶粒の微細化をはかる。ひずみ取りの場合よりやや高温とすることが多い。加工後,コイル,板などを炉に入れて焼鈍するバッチ焼鈍と,加工,焼鈍,酸洗を連続して行う連続焼鈍がある。
(3) 拡散焼鈍 鋳造の偏析を拡散解消する処理で,鋼材では通常 950~1300℃で長時間保持する。
(4) 完全焼鈍 高温焼鈍ともいう。鉄鋼のように変態をもつ材料に対し,変態温度以上の高温で長時間保持したのち,徐冷して変態を十分に行わせ,標準組織を得る処理。主として軟化による被削性の向上を目的とする。
(5) 球状化焼鈍 球状パーライト組織を得るための処理で,A1 点 (→鉄鋼の変態 ) 前後の温度で保持するが,実際には数種の工程がある。鉄鋼以外の材料の薄片状組織の球状化にも応用できる。
以上の処理では保持時間が長く,高温でもあるから,酸化や再結晶による結晶粒粗大化などのおそれがあり,温度,保持時間,雰囲気に注意を要する。特に酸化を防ぐため熱浴を用いることもある。還元性または不活性ガス気圏中で焼鈍を行うと表面に酸化膜の生成がなく,光輝を保つので光輝焼鈍という。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
世界大百科事典(旧版)内の焼鈍の言及
【焼きなまし(焼鈍し)】より
…熱処理の一種。焼鈍(しようどん)ともいう。熱的に平衡な状態になるように高温に加熱する操作の総称。…
※「焼鈍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」