ケナガサイ(読み)けながさい(その他表記)wooly rhinoceros

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケナガサイ」の意味・わかりやすい解説

ケナガサイ
けながさい / 被毛犀
wooly rhinoceros
[学] Coelodonta antiquitatis (Blumenbach)

氷河時代のサイのことで、ユーラシア大陸の北部に広く分布していた。マンモスゾウとは違って北米大陸には渡っていない。その姿はヨーロッパ南部の旧石器時代の洞窟(どうくつ)の壁画に描かれていて、人類の先祖と共存し、約1万年前のマグダレニアン期(マドレーヌ文化時代)以前に絶滅している。ウクライナ西部のスラルニアにあるガリシア油田の天然タールの中からは、きわめて保存状態のよい遺体が発見されていて、それは、ポーランドのクラクフ博物館に展示されている。このサイは、長さが9センチメートルもある褐色の長い毛で全身が覆われ、鼻は骨質の中央隔壁で補強され、切歯(せっし)はなく、頬歯(きょうし)の歯冠(しかん)は丈が高く、温帯とツンドラの草地での草食生活に適応していた。体長は3メートルもあり、肩の高さは1.6メートルぐらいで、前後に並んだ大きな2本の角(つの)が鼻と目の上にあった。現在アフリカにいるシロサイやクロサイとは系統が違い、むしろ東南アジアにいるスマトラサイに近縁のものとされている。化石は中国北部や東北部からは発見されているが、日本列島からはみつかっていない。

[亀井節夫]

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