日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケージン」の意味・わかりやすい解説
ケージン
けーじん
Alfred Kazin
(1915―1998)
アメリカの文芸批評家。代表的著作は27歳のときに出版した大著『現代アメリカ文学史』(原題『故国の土に立ちて』1942)で、19世紀末から1930年代末の小説を中心とする散文文学の動向をリアリズムの立場から俯瞰(ふかん)したもの。そのほか『街の歩行者』(1951)では、貧しいユダヤ系移民の子としてニューヨーク市ブルックリンのイーストエンドで生い立った少年期を回想。続く『30年代の出発』(1965)は青年時代の文学的自伝、『ニューヨークのユダヤ人』(1978)は文壇回顧録である。評論集には『もっとも内なる葉』(1955)、『同時代作家たち』(1962)、『アメリカ小説の現貌(げんぼう)』(1973)、『書くことがすべてだった』(1995)など。
[寺門泰彦]
『刈田元司訳『現代アメリカ文学史』(1981・南雲堂)』▽『佐伯彰一他訳『アメリカ小説の現貌』(1974・文理大学事業部)』▽『石塚浩司訳『書くことがすべてだった――回想の20世紀文学』(1997・法政大学出版局)』