改訂新版 世界大百科事典 「ゲッデス」の意味・わかりやすい解説
ゲッデス
Patrick Geddes
生没年:1854-1932
スコットランド出身の都市計画家,社会経済学者。近代都市論の創始者の一人。西アバディーンシャーのバラター生れ。T.H.ハクスリーのもとで生物学を学んだ後,初めはイギリスやインドの大学で植物学や社会学を講じた。1878-79年ころにフランスの経済学者P.G.F.ル・プレーを知り,その社会経済学を中心にダーウィンの進化論,さらに生態学,地理学等を採り入れて新しい都市計画理論を展開する。計画とは都市と田園(農村),工業地域の3者間の有機的な関係を地域の枠組の中で解明するための社会科学の一領域であるととらえ,計画立案に先立つ科学的で総合的な地域調査とその分析を提唱,実践した。実際の計画またロンドンの都市計画会議(1910)を通じて広く認められ,さらにシカゴ大学の社会学教室やマンフォードを介してアメリカの地域計画の発展に寄与した。主著に《進化する都市》(1913,邦訳1982)がある。
執筆者:黒川 直樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報