日本大百科全書(ニッポニカ) 「マンフォード」の意味・わかりやすい解説
マンフォード
まんふぉーど
Lewis Mumford
(1895―1990)
アメリカの文明評論家、都市研究家。ニューヨーク州フラッシング生まれ。ニューヨーク市立大学、コロンビア大学、New School For Social Researchで勉学するがいずれも中退。雑誌『Dial』や『American Caravan』の編集に携わる一方、精力的な著述活動を続け、著書は二十数冊に上る。大学時代にスコットランドの生物学者ゲッデスPatrick Geddes(1854―1932)の都市研究に強く影響されたが、自らもニューヨーク、ボストン、ピッツバーグなどを調査し、都市研究家として揺るがぬ地位を得た。『ユートピア物語史』The Story of Utopia(1922)、『都市の文化』The Culture of Cities(1938)および大著『歴史の都市・明日の都市』The City in History(1961)は、都市における人間の主体的な生存条件を探究したものである。またこの間、機械文明への批判と人間生活の再建を提案した一連の著書を出した。アメリカ文明を扱った『杖(つえ)と石』Sticks and Stones(1924)など4冊、西欧文明に目を向けた『技術と文明』Technics and Civilization(1934)、戦後の『権力のペンタゴン』The Power of Pentagon(1970)である。その他、地域計画協会を設立するなど積極的な社会活動を続け、TVA計画にも貢献した。
[中島和子]
『マンフォード著、樋口清訳『機械の神話』(1971・河出書房新社)』▽『生田勉・木原武一訳『権力のペンタゴン――機械の神話第2部』(1973・河出書房新社)』▽『マンフォード著、生田勉・木原武一訳『解釈と予測――アンソロジー1922~1972』ⅠⅡ(1975・河出書房新社)』▽『マンフォード著、関裕三郎訳『ユートピアの系譜――理想の都市とは何か』新版(2000・新泉社)』