アメリカの文明評論家、都市研究家。ニューヨーク州フラッシング生まれ。ニューヨーク市立大学、コロンビア大学、New School For Social Researchで勉学するがいずれも中退。雑誌『Dial』や『American Caravan』の編集に携わる一方、精力的な著述活動を続け、著書は二十数冊に上る。大学時代にスコットランドの生物学者ゲッデスPatrick Geddes(1854―1932)の都市研究に強く影響されたが、自らもニューヨーク、ボストン、ピッツバーグなどを調査し、都市研究家として揺るがぬ地位を得た。『ユートピア物語史』The Story of Utopia(1922)、『都市の文化』The Culture of Cities(1938)および大著『歴史の都市・明日の都市』The City in History(1961)は、都市における人間の主体的な生存条件を探究したものである。またこの間、機械文明への批判と人間生活の再建を提案した一連の著書を出した。アメリカ文明を扱った『杖(つえ)と石』Sticks and Stones(1924)など4冊、西欧文明に目を向けた『技術と文明』Technics and Civilization(1934)、戦後の『権力のペンタゴン』The Power of Pentagon(1970)である。その他、地域計画協会を設立するなど積極的な社会活動を続け、TVA計画にも貢献した。
[中島和子]
『マンフォード著、樋口清訳『機械の神話』(1971・河出書房新社)』▽『生田勉・木原武一訳『権力のペンタゴン――機械の神話第2部』(1973・河出書房新社)』▽『マンフォード著、生田勉・木原武一訳『解釈と予測――アンソロジー1922~1972』ⅠⅡ(1975・河出書房新社)』▽『マンフォード著、関裕三郎訳『ユートピアの系譜――理想の都市とは何か』新版(2000・新泉社)』
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アメリカの文明・社会批評家。ロング・アイランド生れ。ニューヨーク市立大学でP.ゲッデスから都市計画論を学び,1923年ごろアメリカ地域計画協会Regional Planning Association of Americaを設立し,その理論の普及に努める一方,グリーンベルト都市の諸計画を標榜した。スタンフォード大学,ペンシルベニア大学などの教授も務めたが,もっぱら在野の立場から近代文明を批判する評論活動を行った。都市の芸術性,建築の社会的側面を強調する論評は世界的に注目を集めた。処女作《ユートピアの系譜》(1922,邦訳1971)以来,《都市の文化》(1938,邦訳1974),《歴史の都市 明日の都市》(1961,邦訳1967)など30余の著書がある。
執筆者:黒川 直樹
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… 他方,19世紀における経済学や社会学の成立は,技術と社会の関係についての研究を促し,20世紀には経済史家によるいくつかの優れた技術史研究を生んだほか,産業革命史の一環としての技術史,経営史の一環としての技術史,科学史の背景としての技術史など,多面的な研究が進んだ。第1次大戦後はヨーロッパ文明の危機の意識が高まり,マンフォードら文明史家による技術史研究やマルクス主義者による社会発展の基礎(生産力)としての技術史研究も行われた。20世紀後半の特徴としては,科学と技術との関係,技術移転(テクノロジー・トランスファー),技術思想,テクノクラシー,テクノロジー・アセスメント,技術と女性,技術と文学,技術と国家,技術と軍事,技術と環境など多くの問題が技術史の主題となり,コンピューターにみられるように開発目標設定のための技術史研究も行われるようになったことである。…
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【史的概観】
都市を計画し実現するということは古くから行われている。L.マンフォードは都市は人間の文明・文化の象徴であると述べているが,だれが,だれのために,なんの目的で都市を計画したかという点で,それぞれの時代の都市計画は,異なった様相を呈している。 古代においては王侯,貴族,僧侶が都市を支配し,宮殿,神殿,市場を中心に都市が構築された。…
※「マンフォード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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