コオウレン(その他表記)Picrorhiza kurrooa Royle

改訂新版 世界大百科事典 「コオウレン」の意味・わかりやすい解説

コオウレン
Picrorhiza kurrooa Royle

高山の草地に生えるゴマノハグサ科多年草。太い根茎の先に多くの葉が密生する。葉はさじ形または卵形で,長さ3~6cm。葉の間から花茎を伸ばし,花茎は高さ5~10cm,先に長さ2cmほどの総状花序をつくり,夏,十数個の小さな白色または紫青色の花をつける。花冠は短い筒状の唇形,上唇1枚は大きく,下唇は短くて3裂する。おしべ4本。蒴果(さくか)は卵形。ヒマラヤ西部からカシミールに分布する。コオウレン属Picrorhizaには2種類あり,もう1種P.scrophulariiflora Pennellはヒマラヤ東部のネパールチベットから中国の雲南省四川省にみられる。ともに根茎を乾かしたものをサンスクリットでkatukaまたはkaturohinī,漢方で胡黄連(こおうれん)と呼び,健胃・解熱薬として用い,正倉院の薬物中にも見いだされる。根茎に苦味があり,配糖体ピクロリジンpicrorhizinを含むが,薬理については不明である。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 山崎

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android