ことだま

日本大百科全書(ニッポニカ)「ことだま」の解説

ことだま
ことだま / 言霊

語に宿ると信じられた妙な力。言語に霊的な力があると信ずる傾向は、未開の民族に普遍のことであるが、古代日本人は「かみこと(神言・神語)」(日本書紀、万葉集)の霊力を信ずるだけでなく、人間のことばにも善いことばは吉事を招き、不吉なことばは凶事をもたらす力があり、「こと(言)」は「こと(事)」であると考え、「敷島の大和(やまと)の言霊(さき)はふ国」(万葉集)と信じていた。この言霊信仰ないし言霊思想は、祝詞(のりと)・祝言や呪詞(じゅし)を生み、忌みことば(アシ〈〉は、縁起が悪いとしてヨシと呼び換える類)の風習を生んだほか、学問上にも江戸時代の賀茂真淵(かもまぶち)の五十音図神聖視や、本居宣長(もとおりのりなが)の係り結びの法則への賛美や、一つ一つの音節がすべてそれぞれ意味をもっているとする音義説を導いた。音義説に基づく江戸後期の国語研究家たちを言霊学派といっている。

[林 巨樹

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例