こはぜ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「こはぜ」の意味・わかりやすい解説

こはぜ

留め具一種足袋(たび)、腕貫(うでぬき)、手甲(てっこう)、脚絆(きゃはん)あるいはたばこ入れなどの留め具として用いられる。材料には真鍮(しんちゅう)、合金が多く使用されているが、たばこ入れや袋物類には牙(げ)製、金銀、四分一に象眼(ぞうがん)を施したり、透(すかし)彫りなど手の込んだものも用いられる。室町時代末期の形態はくるみボタン形式のもので、桃山時代から裁着袴(たっつけばかま)に利用されたが、元禄(げんろく)時代(1688~1704)から、鯨(くじら)、鶴(つる)の骨などが利用された。なお、金属製品では、爪(つめ)の周囲に細い枠をつけるようになり、それが現代に及んでいる。

[遠藤 武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のこはぜの言及

【足袋】より

…鹿のほか犬革も用いられ,正徳(1711‐16)のころには舶来の革も用いたが,洗濯がしにくく臭気がはげしい革足袋は,木綿の普及にともない木綿足袋に取って代わられる。宝永(1704‐11)にはくつ足袋といわれる足首の短い〈こはぜ掛け〉の足袋が流行,こはぜは鯨のひげで作られた。正徳のころにはボタン掛けもあった。…

【留具】より

…これはそれぞれ雄紐,雌紐とも呼ばれ,雄紐は他に,しゃか結び,雌紐にはあげまき結び,けまん結びなどが用いられた。近世の筥迫(はこせこ)や袋物には留金が,紐結びであった足袋には動物の骨や角,のちには金属の鞐(こはぜ)がつけられるようになった。【山浦 澄子】。…

※「こはぜ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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