化学辞典 第2版 「コバルトカルボニル」の解説
コバルトカルボニル
コバルトカルボニル
cobalt carbonyl
[Co2(CO)8]や[Co4(CO)12]などが存在する.【Ⅰ】[Co2(CO)8](341.95):CoCO3を低沸点パラフィン溶媒中,150~160 ℃,CO-H2混合ガス10~20 MPa でカルボニル化してつくる.オレンジ色の結晶.融点51 ℃.52 ℃ で分解する.有機溶媒に易溶.真空中で昇華し,空気中で酸化されやすい.水素などで容易に還元され[CoH(CO)4]になる.2個の架橋COをもつ構造(図)と架橋COのない構造[(CO)4Co-Co(CO)4]の二つの異性体がある.[CAS 10210-68-1][別用語参照]ジコバルトオクタカルボニル【Ⅱ】[Co4(CO)12](571.86):[Co2(CO)8]を窒素下で熱してつくる.黒色の結晶.60 ℃ で分解する.空気中できわめて不安定で,ベンゼン,ペンタンに易溶.4個のコバルトは四面体をなし,3個の架橋カルボニルをもつ.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報