化学辞典 第2版 「コレラ毒素」の解説
コレラ毒素
コレラドクソ
cholera toxin
コレラ菌の生産するタンパク質性の毒素.AとBの2種類のサブユニット6個(AB5)からなり,AにはADPリボシルトランスフェラーゼ活性がある.Bサブユニットは腸の上皮細胞に結合し,Aサブユニットが細胞内に侵入するのを助ける.細胞内に入ったAサブユニットはアデニルサクレース(AC)を
ADPリボシル化NAD+ + AC →
ADPribosyl-AC + ニコチンアミド
と修飾することにより,無制限にセカンドメッセンジャーであるサイクリックAMP(cAMP)をつくらせる.その結果,cAMP依存性のイオンチャネルのはたらきがくるい,はげしい下痢にみまわれる.点滴による水分と塩分の補給が肝要である.[CAS 9012-63-9]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報