塩分(読み)エンブン

デジタル大辞泉 「塩分」の意味・読み・例文・類語

えん‐ぶん【塩分】

物の中に含まれている食塩の量。しおけ。
水中に溶けている塩類の量。ふつう海水1キログラム中のグラム数(パーミル)で表す。平均海水で約35パーミル。陸水中で塩類の量は、1キログラム中のミリグラム数(mg/l)で表す。

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精選版 日本国語大辞典 「塩分」の意味・読み・例文・類語

えん‐ぶん【塩分】

  1. 〘 名詞 〙 物質の中に含まれている塩の量。塩気(しおけ)
    1. [初出の実例]「太平洋に面したところは、塩分をふくんだガスをかむるので特に悪い」(出典:日本の裏街道を行く(1957)〈大宅壮一〉植民された北海道)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「塩分」の意味・わかりやすい解説

塩分[海水]
えんぶん[かいすい]
salinity of seawater

海水 1kg中に含まれている固形物質の全量をグラム (g) で表わしたもの。千分率 (パーミル,‰) を単位とする。海水中に溶けている各イオンの存在比が一定であることから,塩分S‰の代り塩素量 Cl‰を測定し,クヌーセン公式,S=0.030+1.8050Clによって塩分を求める。外洋域の塩分は 32~38‰の間で変化する。全海洋の平均的塩分値としては 35‰とすることが多い。海水の表面の塩分を左右する原因として,風や日射による海水の蒸発で塩分が高くなり,降水河水,融氷など淡水の供給によって塩分が低くなることがあげられる。各大洋とも沿岸から離れるにつれて塩分が高くなり,南北両極に近づくほど低くなる。日射は強いが,風が弱く降雨が多い赤道地方より,貿易風帯下にあって降雨が少く蒸発の盛んな南回帰線と北回帰線を中心とする海域では塩分が高い。日本近海では日本列島の南部が 35‰,北太平洋北部が 34‰以下,ベーリング海,オホーツク海は 33‰以下となる。日本海は 34‰内外,瀬戸内海は 32~33‰。海洋全体からみると特殊な例として,地中海で 39‰以上,紅海で 40~43‰という塩分の高いところがある。海水の塩分は深さとともに変化するが,太平洋,大西洋インド洋の主要部では水深 700~800mのところに塩分極小があり,さらに 1500~4000mには塩分極大がみられる。塩分の起源についてはまだ定説がない。海洋ができた当時から現在と同程度の塩分があったという考えと,最初の海洋にはわずかしかなかったが,河水に含まれる塩類が加わり,塩分が高くなったという説がある。

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化学辞典 第2版 「塩分」の解説

塩分
エンブン
salinity

一般に,水中に溶解している塩類の含量を示すが,とくに海水について使用されることが多い.海水1 kg 中に溶解している固形物質の全量を g で表したもので,千分率(パーミル,‰)で表示する.しかし,海水中の塩分の測定は簡単ではないので,海水は濃度差はあっても構成成分間の割合の変化は少ないから,塩素量を測定してクヌーセンの公式

(塩分 = 0.03 + 1.805 × 塩素量)
によって計算することが多い.

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海の事典 「塩分」の解説

塩分

海水1kg中に含まれている固形物質の全量をグラムで表したものを塩分という。ただし全ての炭酸塩は酸化物にかえ、臭素、よう素はすべて塩素に置き換え、 有機物は完全に酸化するものとする。しかしこの測定は容易でないので、海水のイオン組成が場所によらず一定であることを利用して、通常は塩素量あるいは海 水の電気伝導度を測定して換算する。塩分の単位は千分率(パーミル)であるが、電気伝導度から求めた場合には実用塩分単位(psu)を用いる。 (永田)

出典 (財)日本水路協会 海洋情報研究センター海の事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の塩分の言及

【塩分計】より

…海水の塩分salinityを求める測器。塩分とは海水1kg中に含まれる塩類の重量をいい,千分率‰で表す。…

【海水】より

…この事実は,19世紀の化学者たちの分析結果からしだいに明らかになり,1870年代のチャレンジャー号の航海で得られた各海域の海水試料についてのディットマーD.Dittmarの研究によってほぼ確立された。 海水1kg中に溶けている塩の量(g数)が塩分salinityであり,千分率(‰)で表す習慣になっている。外洋の海水の塩分は,33~38‰の範囲にある。…

※「塩分」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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