日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴンゴリスモ」の意味・わかりやすい解説
ゴンゴリスモ
ごんごりすも
Gongorismo
17世紀のスペインの詩人ゴンゴラの名に由来する独特な表現法で、文飾主義culteranismoともよばれる。同時代のイギリスのユーフィズム、フランスのプレシオジテ、イタリアのマリニズモなどと同じように、極端に技巧を重視するバロック詩の典型的な表現法の一つで、その特徴は、ラテン語の語彙(ごい)や構文を大胆に取り入れた破格的なスペイン語で、意表をつく特異な隠喩(いんゆ)を多く用いた点にある。したがって、この派の作品は一般にきわめて晦渋(かいじゅう)なものが多い。ゴンゴリスモは、これと対立する奇想主義とともに、17世紀のスペイン文学に多大の影響を及ぼしたのみならず、20世紀になってふたたび見直されている。
[桑名一博]