サイヅチボヤ(読み)さいづちぼや

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイヅチボヤ」の意味・わかりやすい解説

サイヅチボヤ
さいづちぼや / 賽槌海鞘

原索動物門尾索綱サイヅチボヤ科に属する海産浮遊動物の総称、および同科の1種名。この科の動物は、虫体はオタマボヤと似るが、小形で、構造はより単純躯幹(くかん)は長さ1ミリメートル程度あるいはそれ以下で、一般に細長く背腹に扁平(へんぺい)。尾部は短く幅広い。咽頭(いんとう)前端壁にある1対の鰓孔(さいこう)は直接外界に開く。内柱および胃壁はそれぞれ少数の大形細胞のみからなる。造巣組織はオタマボヤに比べてはるかに狭い。それが分泌する被嚢(ひのう)は虫体を包まず、濾過(ろか)装置原基として口から前方に突出する。この原基は、尾の複雑な動きにより、ちょうど風船ガムが膨れるようにハート形に大きく展開し、ついで尾の別の一連の動きにより微細なプランクトンをとらえる。このとき虫体は移動しない。摂餌(せつじ)が終わるとこの装置はふたたびしぼむ。雌雄同体で、普通雄性先熟。温水域を中心に全世界に分布する。ときに沿岸水域で非常な高密度となる種がある。日本近海には、和名サイヅチボヤFritillaria pellucidaをはじめ、全既知種の半数を超える約15種が出現する。

[西川輝昭]

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