…脊椎動物では,消化管の前部で口腔と食道の中間にあり,少なくとも胚の時期にはその両側壁にいくつかの咽頭囊(内臓囊)が前後に並んで発生する部分。咽頭囊は消化管の内壁が側方へ向かってポケット状にくぼんだもので,魚類,両生類幼生および一部の両生類成体では,外界へ開通して鰓孔(さいこう)(えら穴)となり,その前後の壁に多数のえらを生ずる。その他の空気呼吸をする脊椎動物つまり有羊膜類では,咽頭囊は原則として外通せず,えらは発生せず,成長とともに退化消失するが,その付近の組織から種々のいわゆる鰓性器官が分化する。…
…中耳は内耳(哺乳類では外耳が加わる)とともに耳を構成する。現存の軟骨魚類では,咽頭の両側に数対の鰓孔(えらあな)があり,その前方背方に小さい呼吸孔(噴水孔)がある。これは,顎骨をまだもっていなかった軟骨魚類の祖先において多数の対をなして並んでいた内臓弓(えらの骨格)のうち,最前方のもの(顎弓)がやがて顎骨に,第2のもの(舌弓)が舌骨に変化したとき,それらに挟まれた鰓孔が退化縮小して残存したものと考えられる。…
※「鰓孔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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