日本大百科全書(ニッポニカ) 「サルベミニ」の意味・わかりやすい解説
サルベミニ
さるべみに
Gaetano Salvemini
(1873―1957)
イタリアの歴史家、政治思想家。メッシーナ、ピサ、フィレンツェの各大学教授を歴任(1902~1925)。1893年以後イタリア社会党内で南部擁護の観点から活発な論議を展開したのち、離党して『ウニタ』紙を創刊(1911)。第一次世界大戦前のイタリアを支配したジョリッティの政策に対決しようとするこの政治週刊紙(1911~1920)は若い知識人世代に絶大な影響を及ぼし、彼らの社会認識を革新したといわれる。P・ゴベッティとともに初期反ファシズム活動の中心となり、1925年に逮捕されるが、まもなくパリに亡命。パリやロンドンを拠点に反ファシズム活動を続け、「正義と自由」派の創設にも加わった(1929)。その後アメリカに移り、1934年以降ハーバード大学でイタリア文明史の講座を担当。第二次世界大戦後イタリアに帰り、フィレンツェ大学に復帰した(1948)。主著に『ジュゼッペ・マッツィーニ』Giuseppe Mazzini(1905)、『ファシズムの斧(おの)の下で』Under the Axe of Fascism(1936)などがある。
[重岡保郎]
『スチュアート・ヒューズ著、荒川幾男・生松敬三訳『大変貌』(1978・みすず書房)』