改訂新版 世界大百科事典 「サンシラン」の意味・わかりやすい解説
サン・シラン
Saint-Cyran
生没年:1581-1643
フランスの神学者。本名デュベルジエ・ド・オーランヌJean Duvergier de Hauranne。サン・シランの修道院長であったためこの名で呼ばれる。学生時代にヤンセンと親交を結び,聖書と教父の研究に打ち込むが,1620年オラトリオ会の創設者ベリュルP.de Bérulleと出会い,その影響下に教会改革の必要を痛感する。35年ポール・ロアイヤル女子修道院の指導を引き受け,ポール・ロアイヤル運動に深くかかわる。38年政治,信仰上の複合的な理由からリシュリューの命で捕らえられ,42年釈放されたが,まもなく没した。恩寵の働きを重視し,回心の必要を強調した彼の行動と教えはジャンセニスムの誕生と発展に決定的な影響を及ぼしたのである。
執筆者:塩川 徹也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報