改訂新版 世界大百科事典 「サンタンヌ学派」の意味・わかりやすい解説
サンタンヌ学派 (サンタンヌがくは)
L’École de Sainte Anne
フランスの精神医学における一学派。フランスの文化の中心がパリであったように,精神医学の分野においてもパリのサルペトリエールやビセートルといった病院を臨床,研究の場として多くのフランス精神医学者たちが活躍した歴史がある。そして,1866年ころからそれまでもっぱら治療の場として使用されていたサンタンヌの施設(パリ14区,サンテ通り)が,精神病クリニックと総称される病院群となるとともに,77年ここに精神医学の講座が設けられた。この講座はバルB.Ballを初代の教授として,バレーG.Ballet,デュプレDupré,クロードH.C.J.Claude(1869-1946),ドレーJ.Delayなどが続いたが,サンタンヌ学派と呼ばれるのは,とくに1922年から39年まで在任したクロードとその門下の精神医学者たちのことである。そのなかにはカプグラJ.M.J.Capgras(1873-1950),セリューP.Sérieux,アベリーP.Abély,ギローP.Guiraud,エーH.Eyといった著名な人々の名をみることができる。この学派は総じてP.ジャネの影響を受け全体論的な見解をとり,大脳局在論をとるC.G.クレランボーの学派との対比でいわれることが多い。
執筆者:武正 建一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報