ベルギーの細胞生物学者。アルデンヌ高原の古い町ロングリールで生まれる。1928年リエージュ大学卒業、短期間ドイツのカイザー・ウィルヘルム研究所(現、マックス・プランク研究所)で過ごした後、1929年アメリカに渡り、ロックフェラー研究所(現、ロックフェラー大学)の研究員となった。第二次世界大戦後、ベルギーに戻り、1948年ブリュッセル自由大学の教授となり、1950年にはジュール・ボルデ癌(がん)研究所所長に就任、1972年退職するまで務めた。
1930年代からラウス肉腫(にくしゅ)の研究に着手、遠心分離法によって細胞内の粒子成分を分離し、その性質を調べた。その後、電子顕微鏡を用いて細胞内の原形質の構造を詳しく研究し、リボ核酸(RNA)の多く含まれる部分を分離することに成功、それをミクロゾームと命名し、その微細構造を明らかにした。その結果、均一にみえていた細胞質の中が複雑な構造をしていることを示し、細胞生物学の進歩に大きく貢献した。1974年には「細胞の構造と機能に関する発見」により、ド・デューブ、パラーデとともにノーベル医学生理学賞を受賞した。
[編集部]
フランスの技術者。パリに生まれ、市立学校で物理と化学を学んだのち、1889年からパリ市の電気技術者となった。1896年から1902年までフランセーズ・ハウストン・トムソン社において研究し、1897年にはアセチレンをアセトンに溶かして安全に貯蔵する方法を発明し、アセチレン工業の発展に貢献した。業績のほとんどは空気液化とその関連分野で、1902年に爆発法による空気液化を行い、1910年には不活性気体中での放電による発光を発見してネオン管を発明、これが広く広告灯として使用されたことで大きな収入を得た。第一次世界大戦下では液体酸素による火薬製造法をくふうし、1917年に空気中の希ガスの工業的分離法を完成したほか、新しい条件によるアンモニア合成の工業化に成功した。1920年ごろより政治活動に参加し、第二次世界大戦後にはナチスに協力した罪で終身刑を受けたが4年半で釈放された。
[加藤邦興]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
フランスの工業化学者.1889年市立物理化学学校を卒業.1900~1905年,C.P.G.von Linde(リンデ)とは異なる原理の断熱膨張の方法により,空気の液化に成功した.これは膨張機関を用いて断熱下で外界に対して仕事をさせるもので,低温のピストン潤滑方法に難点があるが,のちにピストンとシリンダーの間に空げきを残したまま高速度でピストン運動をさせる方法に改良され,ヘリウムの液化に用いられた.また,1902年ごろにネオン封入管の放電によるランプを開発し,1910年には最初のネオンランプがパリで公開され,1923年にはかれのクロード・ネオン社によるネオンサインがアメリカに登場した.1924年,フランス科学アカデミー会員となった.第二次世界大戦中にドイツ軍に協力したとして,戦後,逮捕され裁判で有罪となり終身刑となり,アカデミーを除名になったが,友人の尽力によって獄からは4年半で釈放された.その後は,海洋のエネルギーの利用の研究をした.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
フランスの工業化学者。パリの生れ。1897年アセチレンをアセトンに溶かして安全に貯蔵できることを発見し,アセチレン工業の進歩を促した。1902年クロード式液体空気の製法を考案した後,希ガスの工業的分離法,電球への利用などを考案。10年希ガス中で放電すると発光する現象を発見し,ネオン管による電磁波の検出,さらにはネオンサインや蛍光灯の基礎となる研究を行った。17年F.ハーバーとは別にクロード法として有名なアンモニア合成法を発明し,24年以来日本にも数社に技術導入され,化学工業の発展に貢献した。45年ナチスに協力したかどで終身刑に処せられた。
執筆者:矢木 哲雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…一方,放電灯のほうは1808年のH.デービーのアーク灯の公開実験以後,70年に発電機が発明されるまでは大きな進歩はなかったが,発電機の出現によって放電灯も盛んに研究されるようになった。実用的な放電灯の最初はフランスのクロードGeorges Claude(1870‐1960)がパリのグラン・パレに点じたネオンサインである(1918)。その後1930年代初頭にナトリウム放電灯や高圧水銀灯が次々と実用化され,現在ではさまざまな放電灯が屋内外に採用されている。…
…一方,放電灯のほうは1808年のH.デービーのアーク灯の公開実験以後,70年に発電機が発明されるまでは大きな進歩はなかったが,発電機の出現によって放電灯も盛んに研究されるようになった。実用的な放電灯の最初はフランスのクロードGeorges Claude(1870‐1960)がパリのグラン・パレに点じたネオンサインである(1918)。その後1930年代初頭にナトリウム放電灯や高圧水銀灯が次々と実用化され,現在ではさまざまな放電灯が屋内外に採用されている。…
※「クロード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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