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全体論 ぜんたいろんholism; wholism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

全体論
ぜんたいろん
holism; wholism

全体の示す性質(→全体性)は部分の総和をこえるという考え。ホーリズムともいう。1926年に南アフリカ共和国の政治家ヤン・C.スマッツが造語した。生物学において還元主義と対立する概念であり,全体性への注目は多くの生物学者にみられる。20世紀初頭のドイツの生物学者ハンス・A.E.ドリーシュ発生学におけるエンテレキーの概念(→エンテレケイア)など,全体論はしばしば生気論との関連で眺められたが,部分間の「関係」は部分が複数個集まらなければ生じえないという指摘は,生気論と無関係に妥当である。有機体論は,生物体が複雑な関係をもち合った一個の系であることに注目するので,全体論と同類視されることもある。スマッツと同時代の全体論者には,イギリスの遺伝学者ジョン・スコット・ホールデーン,フランスの社会学者エミール・デュルケムなどがいる。

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百科事典マイペディアの解説

全体論【ぜんたいろん】

全体は部分や要素に還元できない独自の原理をもつとする哲学的立場要素論あるいは還元主義の対。原子から人間社会に至るあらゆる有機的存在について成り立ちうるが,生物について言われることが多く,その場合,しばしば生気論と結びつく。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぜんたいろん【全体論 holism】

全体は,単なる部分の集合ではなく独自のものを持ち,全体を部分や要素に還元できないとする立場をいう。これに対立する要素論(要素主義)elementalismでは,例えば要素的粒子が発見されれば自然は究極的に説明され,例えばDNAのふるまいを完全に究明すれば生命現象は理解できるなどと主張されることもある。しかし要素的粒子もその集合体は独自のふるまいを持ち,原子核,原子,分子,物体,生物体,人間,社会もそれぞれのレベルで独自の性質を持つと考えられるし,生物も核酸,細胞核,細胞,組織,器官,個体,集団のそれぞれのレベルで独自のあり方を持つので,要素に還元できないと考える立場が全体論である。

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大辞林 第三版の解説

ぜんたいろん【全体論】

心理学・社会学・生物学などで、対象を単なる要素の総和ではない独自の一まとまりをなす存在としてとらえようとする立場。一定の要素・性質に還元する考え(原子論・機械論など)に対していう。ホリズム。

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世界大百科事典内の全体論の言及

【生命】より

…20世紀にはそのほかいろいろの種類の全体論が,主として発生学と生理学の成果を土台として提起された。全体論holismの語を提案(1926)したJ.C.スマッツのほか,J.S.ホールデン,B.デュルケンはおもな論者である。J.S.ホールデンは生体と環境を一個の全体とする見方を述べた。…

【生命】より

…一方,生命機械論は生物の現象を終局的に物質現象として理解する立場だが,それにいくつかのちがった考え方があることは後述する。なお新生気論,全体論,生体論(有機体論)などといった生命論の提唱もあり,実際には単純に割り切ることはできない。 生命をどう考えるかは生体の構造と機能の解釈に依存することであり,科学の発展によって異なってくる。…

※「全体論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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