改訂新版 世界大百科事典 「シアーバターノキ」の意味・わかりやすい解説
シアーバターノキ
shea butter tree
Butyrospermum parkii (Don) Kotschy
熱帯アフリカに分布するアカテツ科の常緑高木で乳液を有する。種子からは有名なシアーバターがとれる。小枝は太く,表面は大きな葉のついていた跡が残り,あらい。うすい革質の葉は小枝の先端に多数集まり,互生し,長楕円形,長さ8cm内外,先端はつぶれ,基部はややとがり,ふちに鋸歯はなく,若葉は裏面に赤褐色の毛を密布する。葉柄は長さ1~2cm。花は葉腋(ようえき)に単生し,径1cmぐらい。果実は卵円形で長さ3cmぐらい。アフリカ中部,西部の乾燥地帯に分布する。種子は約50%の脂肪(シアーバター)を含んでいる。これを取るには種子を粉砕して煮沸し,水面に浮いた脂肪を集める。ヨーロッパではこれをセッケン,ろうそくに用い,精製してマーガリン,カカオバターの代用品をつくる。アフリカの原住民は脂肪を食料,塗料,灯用として用い,採油かすは家畜の飼料とする。材は堅くて耐久力があり,用材とする。
執筆者:初島 住彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報