日本大百科全書(ニッポニカ) 「シカツノサンゴ」の意味・わかりやすい解説
シカツノサンゴ
しかつのさんご / 鹿角珊瑚
staghorn type coral
腔腸(こうちょう)動物門花虫(かちゅう)綱六放サンゴ亜綱イシサンゴ目ミドリイシ科のアクロポラ属Acroporaのうち、シカの角(つの)のような骨格をつくる種の総称。単にツノサンゴとよぶこともある。シカツノサンゴはサンゴ礁の波の穏やかな浅い礁湖、あるいは礁池内に大きな群落をつくる。ごく浅い所につくられる群落では、群体は上方に成長し、先端は干潮時の水面の高さにまで達する。そのため、群落は上方の先端部が一水平面にそろった剣山のような格好となる。このような群落では、群体の下方の個虫は死んで骨格のみとなり、上方のみが生きている。下方の骨格上にはいろいろな海藻やイソギンチャク、コケムシ、ホヤなどが付着し、枝の間にはスズメダイ類などの小魚が生活し、生態系の構成上重要な空間を提供する。
[内田紘臣]