[生]1903.7.14. ケンブリッジ [没]1992.3.3 イギリスの経済学者。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス (LSE) およびリバプール大学で教鞭をとり,1969年の退官後も活発な著作活動を続けた。彼は経済主体の直面する不確実性について,コイン投げのように等質な不確定要因によって構成されるものでも,繰り返し可能な試行によるもの (これらをリスクと呼ぶ) でもなく,確率論的なアプローチで分析できるものではないことを強調した。それに代わるものとして,ある資産の保有によってある収益あるいは損失水準が実現したとき,その個人の驚愕の度合いを表す潜在的意外性関数という概念 (これは命題に対する不確信の度合いを示す) を導入し,これを標準焦点要素によって正規化して期待効用の代替概念とし,投機選好表によって評価するという意思決定モデルを示した。主著"Decision,Order and Time in Human Affairs" (1961) 。