ケンブリッジ(読み)けんぶりっじ(その他表記)Cambridge

翻訳|Cambridge

精選版 日本国語大辞典 「ケンブリッジ」の意味・読み・例文・類語

ケンブリッジ

  1. ( Cambridge )
  2. [ 一 ] イギリスイングランド中東部、ケンブリッジシャーの都市。一三世紀初頭創立のケンブリッジ大学がある。
  3. [ 二 ] アメリカ合衆国、マサチューセッツ州北東部の都市。ハーバード大学マサチューセッツ工科大学ラドクリフ大学などがある。
  4. [ 三 ] アメリカ合衆国、オハイオ州東部の都市。石炭・石油・天然ガスの産地。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケンブリッジ」の意味・わかりやすい解説

ケンブリッジ(アメリカ合衆国)
けんぶりっじ
Cambridge

アメリカ合衆国、マサチューセッツ州北東部の大学都市。人口10万1355(2000)。チャールズ川を挟んでボストン市に隣接し、郊外住宅都市の性格も強い。1630年ニュー・タウンの名で町が創建され、37年にケンブリッジと改称、1846年より市制が施行された。1636年に創設されたハーバード大学をはじめとし、マサチューセッツ工科大学(MIT)、ラドクリフ大学(1999年ハーバード大学に併合)など名門校が設立され、各種教育研究機関も集中し、合衆国有数の大学都市を形成してきた。工業の発達も目覚ましく、電気機械、写真機材、化学機器、楽器製造が中心で、1639年以来の印刷出版業の中心地でもある。ロングフェローゆかりのクレーギーハウス(1759)、J・R・ローウェルゆかりのエルムウッド(1769)をはじめ、マサチューセッツホール、クライストチャーチなど18世紀の古い歴史的建造物が残り、静かな落ち着いた雰囲気を漂わせている。

[作野和世]


ケンブリッジ(イギリス)
けんぶりっじ
Cambridge

イギリス、イングランド中東部、ケンブリッジシャー県にある学術都市で、同県の県都。ロンドンの北約80キロメートルにある。人口10万8879(2001)。グレート・ウーズ川支流カム川渡河点のローマの城塞(じょうさい)から発展した古い市場町で、中世にはイングランド東部でもっとも重要な定期市とされるスターブリッジ市場の開催地として知られた商業中心地であった。現在はケンブリッジ大学所在地として、オックスフォードと並ぶイギリスの代表的な大学都市である。町の中央を流れるカム川両岸には、1284年創設のピーターハウスをはじめ、トリニティ、キングズ、クイーンズなど27のカレッジが集まる。市内には大学も含め、10世紀のベネディクト教会、中世の建築様式を代表するキングズ・カレッジ礼拝堂など多くの中世の建物が残存し、フィッツウィリアム博物館をはじめ文化施設も多く、近年は観光地化している。学術関係の出版・印刷業のほか、電気製品、製粉などの軽工業や自動車工業もある。

[井内 昇]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ケンブリッジ」の意味・わかりやすい解説

ケンブリッジ
Cambridge

イギリス,イングランド中東部,ケンブリッジシャーにある大学都市で州都。人口13万1465(2001)。市名は〈カム川の橋〉を意味する。フェンランドの南,グレート・ウーズ川の支流カム川の中流に位置し,オックスフォードと並ぶイギリスの学術の中心であり,出版・印刷のほか電気機械,科学機械,セメントなどの工業も立地する。カム川の渡河点でかつ遡行限界点にあたるため,ローマ時代から城砦が建設され,アングロ・サクソン時代には行政・交易中心地となった。その後13世紀初期にケンブリッジ大学が創立されてからは,カレッジやホールの学寮施設が集中し,16世紀にはその名声が全ヨーロッパに伝わった。町はローマ時代の道路ブリッジ・ストリートを中心に展開するが,屈曲した狭い小路も多く,中世的雰囲気を残している。市内には学寮のほか,後期ゴシック様式のキングズ・カレッジ・チャペル,大学の教会であるグレート・セント・メアリー教会,ノルマン風円形教会として知られるホーリー・セプルカ教会などの歴史的建築物や,フィッツウィリアム博物館がある。またカレッジの周囲にあるバックスと呼ばれる芝生など,オープン・スペースが広い。1200年ころから開催されていたスタウアブリッジの大市はイングランド最大級のものであったが,現在は衰退している。
執筆者:


ケンブリッジ
Cambridge

アメリカ合衆国マサチューセッツ州北東部の大学都市。人口10万0135(2005)。チャールズ川を挟んでボストンの対岸にある。合衆国最初の高等教育機関として創立されたハーバード大学(1636創立)やマサチューセッツ工科大学(1861年ボストンに設立され,1916年この地に移転),ラドクリフ大学,レスリー大学があり,教育・研究の中心地。また,電気機械,科学用測定機器,ゴム製品,ガラス,電子機器,印刷・出版などの工業もある。1630年に集落が建設され,ニュータウンと呼ばれていたが,38年,イギリスの大学町ケンブリッジにちなんで改称された。1846年市制施行。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケンブリッジ」の意味・わかりやすい解説

ケンブリッジ(伯・公家)
ケンブリッジ[はく・こうけ]
Cambridge, Earls and Dukes of

イギリスの貴族の家柄。伯爵位は,1340年エドワード2世の義弟に授けられたのが最初。次いで,62年エドワード3世の子エドマンド・ド・ラングレー (のちの初代ヨーク〈公〉 ) に与えられ,その次子リチャード (1415没) が継いだが,彼はヘンリー5世に対する王位簒奪の陰謀に加担して処刑された。しかし伯爵位はその子リチャード (のちの3代ヨーク〈公〉 ) ,さらにその子エドワード (のちのエドワード4世 ) に継承され,彼の即位によって解消。 17世紀にいたり,1619年スコットランドの2代ハミルトン侯ジェームズ (1589~1625) にイングランドの爵位として授けられ,その子の初代ハミルトン (公)を経て,その弟の2代ハミルトン公ウィリアム (16~51) に継承されたが,彼が国王派としてウースターの戦いで戦傷死して終った (→ハミルトン〈侯・公家〉 ) 。 17世紀後半には幾人かの王族に授けられたが続かなかった。公爵位は,1706年のちのジョージ2世に授けられ,1801年ジョージ3世の7男アドルファスが復活し,その子孫に継承された。

ケンブリッジ
Cambridge

イギリスイングランド中東部,ケンブリッジシャー県の県都。ケンブリッジ地区を構成する。ケンブリッジ大学の所在地として知られる都市で,ロンドンの北約 80km,フェン地方と呼ばれる低地の南縁部にあり,ウーズ川支流カム川に臨む。「イギリス唯一の真の大学都市」といわれ,中世からの歴史的な建物と豊富な緑が優れた環境をつくっている。31のカレッジがあり,歴史の古い建物が多いが,最も有名な建物はキングズ・カレッジ礼拝堂(1446~1515)で,イギリス中世建築の代表作の一つ。産業は電子工業,印刷など,大学と密接な関係をもつものが多く,国際的名声を得ている書店もいくつかある。製粉,アスファルト,セメント製造も重要。フィッツウィリアム美術館は有名。観光業も盛んで,特に夏季には英語を学ぶために海外から訪れる学生が多い。面積 41km2。人口 11万8500(2001)。

ケンブリッジ
Cambridge

アメリカ合衆国,マサチューセッツ州東部の大学都市。チャールズ川をはさんでボストンの対岸にある。ハーバード大学,ラドクリフ女子大学,マサチューセッツ工科大学,スミソニアン天体物理学研究所,J.F.ケネディ記念図書館などがあり,同国の科学,産業の研究の中心地。 1630年マサチューセッツ湾会社によりニュータウンという植民地がつくられたが,36年にハーバード大学ができ,38年にイギリスの大学町の名前がつけられた。合衆国での印刷,製本の発祥地であり,合衆国建国の歴史に重要な役割を演じ,ロングフェローら数多くの文人,思想家ゆかりの地。 1912年にボストンとの間に地下鉄が開通してから工業化が進み,食料品,化学製品,電気器具,印刷,ゴム,皮製品,金属製品などの工場が立地するようになった。 50年頃から工場と住宅が郊外へ移動する傾向が強くなり,50年に 12万人をこえていた人口も現在 10万人を割り,人口減少を食止めるべく都市再開発が行われている。人口9万 5802 (1990) 。

ケンブリッジ
Cambridge

カナダ,オンタリオ州南部の都市。ハミルトンの北西約 35kmにある。オンタリオ半島の中央部にあり,1月の平均気温-5.5℃,7月の平均気温 20℃で,カナダとしては気候温和。 1816年頃に居住地が開かれ,シェーズミルズと呼ばれ,製粉と製材が行われた。 27年作家で,カナダの植民者であるスコットランド人 J.ゴルトにちなみゴルトと改称された。鉄鋼,機械,靴,プラスチック,繊維などが主要工業。 1973年西隣のプレストン町と合併してケンブリッジ市となった。人口 12万6748(2011)。

ケンブリッジ
Cambridge

アメリカ合衆国,メリーランド州の都市。チェサピーク湾東岸に位置する。 1684年港が築かれ,イギリスの同名の都市名で呼ばれた。初めの2世紀間は小さな港にすぎなかったが,その後設備が拡充され,1964年の掘削を契機に国際貿易も行われるようになった。おもに食品,木材などを扱う。 16km南にブラックウォーター国立野生生物保護区がある。人口1万 1514 (1990) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ケンブリッジ」の意味・わかりやすい解説

ケンブリッジ(米国)【ケンブリッジ】

米国,マサチューセッツ州北東部の大学都市。1638年イギリスの大学町ケンブリッジにちなんで命名された。ハーバード大学,ラドクリフ大学,マサチューセッツ工科大学(MIT)の所在地として知られる。チャールズ川を隔ててボストンに対し,ボストン大都市圏の一部をなし,大学のほかに住宅地が広がる。10万5162人(2010)。

ケンブリッジ

英国,イングランド南東部,ケンブリッジシャー州の州都。ロンドン北方80kmにある。ウーズ川の支流カム川に臨み,古くから市場町,ケンブリッジ大学所在地として発展。11万8000人(2001)。
→関連項目アッテンボロー

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のケンブリッジの言及

【地名】より

…また人物,宗教に関連した記念地名も多く,かつてのコンスタンティノポリス(コンスタンティヌス帝の都,現,イスタンブール)やサンフランシスコ(聖フランチェスコ)がその好例である。このほか個人,集団の所有観念と結びついた所有地名,〈あらしの岬〉を喜望峰と改名したような婉曲地名,河川の本来の名称はグランタGranta川であるのに,市名のケンブリッジCambridgeから逆成されたカムCam川を例とする民間語源地名などの類型をあげることができる。
[地名と歴史]
 民族移動が活発であったヨーロッパでは,文献史料を欠く場合,地名研究によって各民族の定住地域や定住時期,社会組織などを解明することが可能である。…

※「ケンブリッジ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android