日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケンブリッジ」の意味・わかりやすい解説
ケンブリッジ(アメリカ合衆国)
けんぶりっじ
Cambridge
アメリカ合衆国、マサチューセッツ州北東部の大学都市。人口10万1355(2000)。チャールズ川を挟んでボストン市に隣接し、郊外住宅都市の性格も強い。1630年ニュー・タウンの名で町が創建され、37年にケンブリッジと改称、1846年より市制が施行された。1636年に創設されたハーバード大学をはじめとし、マサチューセッツ工科大学(MIT)、ラドクリフ大学(1999年ハーバード大学に併合)など名門校が設立され、各種教育研究機関も集中し、合衆国有数の大学都市を形成してきた。工業の発達も目覚ましく、電気機械、写真機材、化学機器、楽器製造が中心で、1639年以来の印刷出版業の中心地でもある。ロングフェローゆかりのクレーギーハウス(1759)、J・R・ローウェルゆかりのエルムウッド(1769)をはじめ、マサチューセッツホール、クライストチャーチなど18世紀の古い歴史的建造物が残り、静かな落ち着いた雰囲気を漂わせている。
[作野和世]
ケンブリッジ(イギリス)
けんぶりっじ
Cambridge
イギリス、イングランド中東部、ケンブリッジシャー県にある学術都市で、同県の県都。ロンドンの北約80キロメートルにある。人口10万8879(2001)。グレート・ウーズ川支流カム川渡河点のローマの城塞(じょうさい)から発展した古い市場町で、中世にはイングランド東部でもっとも重要な定期市とされるスターブリッジ市場の開催地として知られた商業中心地であった。現在はケンブリッジ大学所在地として、オックスフォードと並ぶイギリスの代表的な大学都市である。町の中央を流れるカム川両岸には、1284年創設のピーターハウスをはじめ、トリニティ、キングズ、クイーンズなど27のカレッジが集まる。市内には大学も含め、10世紀のベネディクト教会、中世の建築様式を代表するキングズ・カレッジ礼拝堂など多くの中世の建物が残存し、フィッツウィリアム博物館をはじめ文化施設も多く、近年は観光地化している。学術関係の出版・印刷業のほか、電気製品、製粉などの軽工業や自動車工業もある。
[井内 昇]