シャテルニー(読み)しゃてるにー(その他表記)châtellenie フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャテルニー」の意味・わかりやすい解説

シャテルニー
しゃてるにー
châtellenie フランス語

西欧封建社会における城主の軍事、裁判、行政上の支配権と、この支配権(バン領主権)に服する多くの村々からなる所領の総体。城は、イスラム教徒やノルマン人が侵入した9、10世紀に西欧各地に出現し、中央権力が衰退して社会不安が増大した11世紀以来急速に広まり、バン領主の一円的支配の結晶点となった。築城の認可権は、理論的には王権に属するが、事実上は独立した領邦君主である大諸侯の掌握するところとなった。城は、軍事上の拠点、近隣民衆のための避難所、封建制の政治的中心という三つの機能を果たした。シャテルニーは、封建制の「基本的細胞」といわれているが、実際にはそれほど強固な領域的統一性を有するものではなかった。12世紀の後半ごろから、城主の単位所領を管理する荘司(しょうじ)の独立、領域の縁辺部に割拠する土豪的騎士の自立などにより、ほぼ村を支配の単位とする小領主領に分解する傾向にあった。

[井上泰男]

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