化学辞典 第2版 「シャドウイング」の解説
シャドウイング
シャドウイング
shadowing
電子顕微鏡を普通の透過法で使用する場合は,試料の投影拡大像を観測するのであり,試料の三次元構造は二次元像と像の濃淡から想像するにすぎない.試料の三次元構造を観測する一つの方法としてシャドウイング法がある.これは試料に斜めに金属蒸気を蒸着し,試料にかげをつけて透過法で観測する.すなわち,金属蒸気の当たらないかげの部分は電子線の透過がもっともよく,試料上に金属が蒸着した部分は電子線がもっとも通りにくいので,観測像に三次元的な効果が現れる.また,シャドウイング法で蒸着角度がわかっていれば,かげの部分の長さから試料の高さ,粒子状試料の場合にはその大きさが求められる.シャドウイングのための装置はガラス製真空鐘で,鐘内を1.3×10-2 Pa 以下の真空に保つための真空ポンプ,加熱源であるフィラメントに電流を流す電源,および試料支持台よりなる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報