シャープ買収

共同通信ニュース用語解説 「シャープ買収」の解説

シャープ買収

経営不振に陥ったシャープに対し、台湾鴻海精密工業官民ファンド産業革新機構が支援を表明。鴻海が出資など巨額の支援策を提示し、シャープは2月、鴻海の子会社となる方針を決めた。妥結直前にシャープの将来発生する可能性がある「偶発債務」を巡り交渉難航。出資額を1千億円減額することで合意し、4月に買収契約を締結した。6月のシャープ株主総会で鴻海傘下入りが承認されたが、独占禁止法に関する中国当局の認可が下りず手続きが遅れた。

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知恵蔵 「シャープ買収」の解説

シャープ買収

巨額の負債を抱える電機大手シャープの経営再建を巡る問題。液晶テレビの売上増で、2000年代半ば売上高・利益とも過去最高を更新し続けたが、主力となった液晶事業の不振で一転、09年3月期に赤字転落した。08年のリーマン・ショックの影響もあるが、韓国を始めとする新興国企業の台頭で低価格競争が激化する中、亀山第2工場の建設など液晶事業に過剰投資した経営判断の失敗が原因とみられる。
その後も経営悪化に歯止めがかからず、16年4月、支援を約束した台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入り、再建を目指すことが決まった。当初、産業革新機構(政府系ファンド)の支援受け入れが有力視されていたが、豊富な資金力を持つ鴻海が産業革新機構を大幅に上回る支援額を提示し、シャープ経営陣の合意を取り付けた。鴻海は有機ELパネルなど有望な事業への投資(2000億円を予定)を含む3888億円の出資を約束。同時に株式(議決権ベース)の約66%を握ることになる。鴻海はシャープのブランド名の継続、雇用の原則維持を約束しているが、日本の大手電機メーカーが外資に買収される初めての事態となった。
創業者郭台銘(テリー・ゴウ)会長が率いる鴻海は、電子機器受託製造の世界最大手で、売上高は約15兆6千億(15年12月期)。米アップル社を筆頭ソニー任天堂とも取引がある。シャープとは、12年に約670億円の支援を約束したものの、果たさなかった経緯があり、シャープ内には根強い不信感があるとも指摘される。一方その年、大赤字を計上していた堺(大阪府)の液晶ディスプレー工場に出資し、幅広い販売ネットワークを使って黒字化させたという実績もある。郭台銘会長は「同じような方法で、3年目に黒字化できる」と経営再建に自信を見せている。

(大迫秀樹 フリー編集者/2016年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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