次世代産業の育成のため、2009年7月に設置された官民ファンド。業界再編やベンチャー支援を担う。政府のほかトヨタ自動車など大手企業も出資し、約2兆円の投資能力を持つ。これまで半導体大手ルネサスエレクトロニクスや液晶大手ジャパンディスプレイなど124件で計1兆398億円の出資を決めた。東芝の経営問題では半導体子会社への将来の出資が固まっている。
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公的資金を使って民間企業を支援する官民ファンド。2009年(平成21)7月から国内産業の再編、先端技術の事業化、企業の海外展開などを支援したが、2018年秋に改組され、新たな投融資を停止。産業革新投資機構の傘下に入り、既存の投融資の管理・回収業務にあたる。
リーマン・ショック後にリスク分野へ投資マネーが回らない状況を改善するため、産業再生法(正式名称「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」平成11年法律第131号)に基づいて発足。2013年に根拠法が産業競争力強化法に変わった。英語名はInnovation Network Corporation of Japan、略称はINCJ。本社は東京都千代田区丸の内。存続期間15年の時限措置つき株式会社であった。2018年3月末時点で資本金は3000億1000万円。政府が9割以上を出資し、残りをトヨタ自動車や日立製作所など民間企業26社・2個人が出資。最大で約2兆円の投資能力があり、日本初の知的財産ファンドを設立したほか、半導体大手ルネサスエレクトロニクスへの共同出資、日立製作所・東芝・ソニーの液晶パネル事業を分離・統合したジャパンディスプレイ(JDI)への出資、洋上風力発電やアルツハイマー治療薬ベンチャーへの出資、オーストラリアなどの水事業会社買収など、2017年末までに349件、計1兆0479億円を投融資した。会計検査院の投資損益調査(2017年3月末)では、投資回収額と保有株評価額の合計が投融資額を上回り、約1兆2483億円の利益をあげている。ただルネサスエレクトロニクスの含み益が大きく、企業救済・再編への投資が過半を占め、ユニコーン(企業価値10億ドル以上)とよばれる大型ベンチャー企業向け投資は不足している。産業の新陳代謝を遅らせ、民業を圧迫しているとの批判もあり、イノベーションに集中投資する産業革新投資機構に改組することになった。
[矢野 武 2018年12月13日]
(南 文枝 ライター/2017年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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