シャープ(読み)しゃーぷ(その他表記)Phillip A. Sharp

共同通信ニュース用語解説 「シャープ」の解説

シャープ

テレビや空気清浄機などの家電を手がける電機メーカー。2000年代に液晶テレビのアクオスがヒットし、工場の地名を付けた「世界の亀山モデル」として知られた。液晶パネルへの巨額投資と市況の悪化で業績が悪化し、16年に台湾・鴻海ホンハイ精密工業の傘下に入った。経営改革でコストを削減し黒字基調が続いたが、再び液晶事業が足を引っ張り、23年3月期連結決算の純損益は2608億円の赤字に。24年3月期の純損益は100億円の赤字となる見通し。

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精選版 日本国語大辞典 「シャープ」の意味・読み・例文・類語

シャープ

  1. ( [英語] sharp )
  2. [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 鋭いさま。とがっているさま。(頭脳、センスなどが)鋭敏なさま。とぎすまされて、いきなさま。(映像などが)はっきりとしているさま。
    1. [初出の実例]「ハミルトン氏は実にシャープなビジネスマンライキな人です」(出典:或る女(1919)〈有島武郎〉後)
  3. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. ( ━する ) 西洋音楽の記譜法で、指定された音を半音上げる記号。#で示す。嬰(えい)記号。また、音を半音上げること。⇔フラット
      1. [初出の実例]「あのなっちゃいないラッパの音がサ。いつもシャープしたり、フラットしたり」(出典:日本人のへそ(1969)〈井上ひさし〉一幕)
    2. シャープペンシル」の略。
      1. [初出の実例]「奉公袋には三年分のシャープのシンとシャープペンシルをいれて、応召した」(出典:鉛筆ぐらし(1951)〈扇谷正造〉背広)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャープ」の意味・わかりやすい解説

シャープ(Phillip A. Sharp)
しゃーぷ
Phillip A. Sharp
(1944― )

アメリカの分子生物学者。ケンタッキー州ファルマウス生まれ。ユニオン大学を卒業し、1969年イリノイ大学で化学を専攻して博士号を取得。その後、分子生物学に興味をもちカリフォルニア工科大学電子顕微鏡を用いたデオキシリボ核酸(DNA)の解析を行う。1971年にコールド・スプリング・ハーバー研究所に移り、DNA癌(がん)ウイルスの研究を手がけた。1974年にマサチューセッツ工科大学癌研究センター準教授、1979年より同教授。1985年研究所長。1991~1999年同大学生物学部長。1999年同大学マクガバン脳研究所教授、2000年より同所長となる。

 ウイルスのDNAとメッセンジャーRNA(mRNA)を結合させたものを電子顕微鏡で観察し、mRNAの生成機構を研究。DNAとmRNAを結合させると、DNAとRNA(リボ核酸)が2本鎖を形成しているところと、DNAが1本鎖の状態のままループ状になっているところがあったことから、もともとDNA上の遺伝子情報は分かれた形で存在していると考え、これを1977年に発表した。さらに、DNAの塩基配列をそのまま転写した前駆体mRNAができた後、不要な部分(イントロン)が取り除かれて、情報部分(エキソン)だけをつないだ完全なmRNAができる「スプライシング」機構を明らかにし、その後の遺伝子の発現機構解明につながった。分断遺伝子発見の功績により、R・ロバーツとともに1993年のノーベル医学生理学賞を受賞した。

[馬場錬成]


シャープ(William F. Sharpe)
しゃーぷ
William Forsyth Sharpe
(1934― )

アメリカの金融経済学者。ボストン生まれ。医師を目ざしてカリフォルニア大学バークリー校に入学したが、専攻を経済学に変えてカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に編入し、1961年に博士号を取得した。アメリカの有力シンクタンクのランド研究所、ワシントン大学、カリフォルニア大学アーバイン校を経て、スタンフォード大学教授に就任。1980年にはアメリカ・ファイナンス学会会長も務めた。1990年に、H・M・マルコビッツ、M・H・ミラーとともにノーベル経済学賞を受賞した。

 UCLA時代の1960年代に、マルコビッツのポートフォリオ理論を簡略化・実用化させ、投資の際、証券のもっとも効率的に分散されたポートフォリオを求める「資本資産評価モデル」Capital Asset Pricing Model(通称CAPM)を構築したことが、ノーベル賞の受賞理由となった。

 リスク調整後収益率として、ポートフォリオのリスク1単位当りの超過収益率を表すシャープ・レシオを編み出す。シャープ・レシオは、ポートフォリオの成果を評価する基準として、市場関係者の間で利用されている。

[金子邦彦]


シャープ(株)
しゃーぷ

家電メーカー大手の一つ。電卓、OA機器、電子部品でも有力。1912年(大正1)早川徳次(1893―1980)が東京で金属加工業を開き、14年に早川式繰出し鉛筆を製作、シャープペンシルの名で国内と欧米で発売、日米特許を取得。関東大震災後は東京から大阪に移り早川金属研究所をも開設、1925年に小型鉱石ラジオ、29年(昭和4)には真空管ラジオを製造、輸出も行った。1935年に株式会社に改組、42年には早川電機工業と改称した。民間ではもっとも早く1931年からテレビの研究に着手し、第二次世界大戦後の53年(昭和28)に国産第一号を発売した。1960年代には洗濯機、冷蔵庫分野にも進出、62年に国産初の電子レンジを発売。さらに1964年には世界初のオールトランジスタ電卓を開発して、IC、LSI化を進め業界トップクラスとなった。1970年から現社名。1973年電卓に用いる液晶の実用化に成功、液晶ディスプレーの電卓は、従来型より薄くて消費電力も少ないこともありヒット商品となる。その後、液晶を用いたさまざまな製品が開発され、1960年代から量産化している太陽電池とともに主力事業となっていった。資本金2047億円(2008)、売上高3兆4178万円(2008。連結ベース)。工場はアメリカなど海外にも多数。

[中村清司]



シャープ(♯)
しゃーぷ
sharp 英語
Kreuz ドイツ語
dièse フランス語
diesis イタリア語

嬰(えい)記号。五線記譜法で音を半音高めるときに用いられる変化記号の一つ。調号として用いられるときと、臨時記号として用いられるときがあり、記号は♯を用いる。

[柴田典子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャープ」の意味・わかりやすい解説

シャープ

総合電子機器メーカー。1912年早川徳次の個人企業として創業。1915年金属繰り出し鉛筆(→シャープペンシル)を発明,販売した。1924年早川金属工業研究所として創立,1935年株式会社に改組,1936年早川金属工業と改称,1942年早川電機工業と改称。1967年シャープ電機を合併,1970年社名をシャープに変更。技術面では 1953年国産第1号となるテレビ(→テレビジョン)製作に始まり,1964年世界初の電子式卓上計算機(電卓)の発売,1969年ガリウムヒ素負性抵抗発光ダイオード GNDを開発,1970年世界で初めて多相大規模集積回路 ELSI(→大規模集積回路)の量産に着手した。1982年に半導体研究所を建設。1986年液晶事業部発足。2001年液晶テレビ(→液晶ディスプレイ)発売。液晶,半導体など電子部品や,超小型電卓,電子手帳など情報機器の分野で発展した。2004年三重県亀山市に液晶テレビを量産する亀山工場を,2009年大阪府堺市に大型液晶パネルと太陽電池を生産する堺工場を建設。しかし 2012年頃から主力である液晶事業の不振により急激に赤字に転落,経営危機に陥った。2012年7月,タイワン(台湾)の鴻海(ホンハイ)グループの投資会社が堺工場の共同経営者となった。その後資本増強や金融支援を重ね自力再建を目指したが,2016年4月,鴻海グループの電子機器受託製造サービス企業 EMSである鴻海精密工業に買収された。

シャープ
Sharp, Phillip A.

[生]1944.6.6. ケンタッキー,ファルマス
アメリカの分子生物学者。 1969年イリノイ大学で化学の博士号を取得後カリフォルニア工科大学で研究を開始。 71年ニューヨークのコールドスプリングハーバー研究所に移り,72~74年上級研究員。 74年からマサチューセッツ工科大学癌研究所部長,生物学部長などを歴任。 77年分断されたデオキシリボ核酸 DNA領域に相応するメッセンジャー RNA (mRNA) を発見,蛋白質合成を符号化された DNA領域 (エクソン) は遺伝情報をもたない長い DNA領域 (イントロン=介在配列) によって分断されていることを明らかにした。同時期,R.J.ロバーツの研究チームも別個に同じ発見をしている。それまでのバクテリア研究を基にした学説では,遺伝子は蛋白質合成において mRNAに直接作用する一続きの長い DNAから成ると信じられていたが,彼らの発見以降,人間をはじめとする高等生物では分断された遺伝子構造 (スプリット・ジーン) のほうが一般的だとの認識が確立された。さらに遺伝子断片の統合過程 (スプライシング) が進化を速めることが判明,多くの遺伝病がスプライシングの異常によるものとされた。また遺伝子の分断構造がエクソンの再編成を促し結果として新しい蛋白質の合成をもたらすという画期的なメカニズムをもつものと考えられている。 93年ロバーツとともにノーベル生理学・医学賞を受賞。

シャープ
Sharpe, William F.

[生]1934.6.16. マサチューセッツ,ケンブリッジ
ウィリアム・F.シャープ。アメリカ合衆国の経済学者。フルネーム William Forsyth Sharpe。金融経済学を確立した功績が認められ,1990年にハリー・マーコウィッツ,マートン・H.ミラーとともにノーベル経済学賞(→ノーベル賞)を受賞した。
1961年カリフォルニア大学ロサンゼル校で経済学の博士号を取得。1957~61年ランド研究所 RAND Corporation在職中に出会ったマーコウィッツの理論に影響を受ける。1961~68年シアトルのワシントン大学,1968~70年カリフォルニア大学アーバイン校で教鞭をとる。1970年以降,スタンフォード大学で教えながら,1980年代に投資コンサルティング会社を設立。株式全般のリスクの比較や投資信託のリスク決定に広く用いられている資産評価モデルを発表,「ベータ」betaと呼ばれるポートフォリオのリスク測度を導き出した。主著は『ポートフォリオ理論と資本市場』Portfolio Theory and Capital Market(1970)。

シャープ
Sharp, James

[生]1613.5.4.
[没]1679.5.3. メイガスミュア
スコットランドの聖職者。長老派指導者の一人でセントアンドルーズ大学哲学教授をつとめ,1651~52年 O.クロムウェルによりロンドン塔に投獄された。 59年 G.マンクの王政復古案を支持し,翌年オランダのブレダにおもむいてチャールズ2世と会見,長老派擁護の使命を裏切って,セントアンドルーズ大主教の地位を得て主教制度派に転向,以後長老派への弾圧に努力。裏切りと容赦ない迫害によって恨みを買い,セントアンドルーズ近くで長老派の一隊に襲われ,暗殺された。

シャープ
Sharp, William

[生]1855.9.12. ペイズリー
[没]1905.12.12. シチリア島
スコットランド生れのイギリスの作家。グラスゴー大学卒業。 D.G.ロセッティ (1882) ,シェリー (87) ,ハイネ (88) ,R.ブラウニング (90) の伝記のほか『ロマン的民謡と幻想の詩』 Romantic Ballads and Poems of Phantasy (88) や,『明日の子供たち』 Children of Tomorrow (89) から『流浪の女たち』 Wives in Exile (98) にいたるロマンス物がある。 1893年以降 Fiona Macleodの筆名で多くの詩文を書いたが,生前その事実は知られなかった。

シャープ
Sharp, William

[生]1749.1.29. ロンドン
[没]1824.7.25. ロンドン
イギリスの素描家,版画家。若い頃にはスズ食器の装飾の彫金をしていたが,ロンドン塔にいたライオンを題材とした版画によって認められ,『ノベリスツ・マガジン』に版画を発表した。肖像画,風俗画,歴史画を多く描く。カラッチ,G.レニ,レイノルズらの作品の模写を多く作った。

シャープ

嬰記号」のページをご覧ください。

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百科事典マイペディア 「シャープ」の意味・わかりやすい解説

シャープ[株]【シャープ】

1912年早川徳次が個人で創業し,1915年〈繰出鉛筆〉(シャープペンシル)を製造販売,1924年早川金属工業研究所設立,1936年早川金属工業,1942年早川電機工業と改称,1970年現社名。ラジオ生産で発展し,1953年のテレビ本放送とともに他に先駆けてテレビ量産に着手して業績を伸ばし,1964年には世界初のオールトランジスターの電子式卓上計算機を開発した。現在では家電,情報機器,電子デバイスを柱とするバランス経営を進め,液晶パネルや太陽光発電パネル等のデバイスに実力。本社大阪。2009年3月期は減収減益で赤字を計上したが,2011年は売上高3兆219億円。当期純利益194億円に回復。資本金2046億7500万円(2011)。売上構成(%)は,エレクトロニクス機器65,電子部品等35。海外売上比率は47%。
→関連項目液晶ディスプレー

シャープ

嬰(えい)記号

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「シャープ」の解説

シャープ

正式社名「シャープ株式会社」。英文社名「Sharp Corporation」。電気機器製造業。大正元年(1912)個人創業。昭和10年(1935)「株式会社早川金属工業研究所」設立。同17年(1942)「早川電機工業株式会社」に改称。同45年(1970)現在の社名に変更。本社は大阪市阿倍野区長池町。総合電機メーカー。電気通信機器・電気機器・電子部品などを製造。東京証券取引所第1部上場。証券コード6753。

出典 講談社日本の企業がわかる事典2014-2015について 情報

ASCII.jpデジタル用語辞典 「シャープ」の解説

シャープ

AV機器、パソコン、家電製品などを製造・販売する大手電機メーカー。1912年創業。会社設立は1935年。1993年、現在のPDAの先駆けといえる「ザウルス」を発表。現在、ノートパソコン「Mebius」シリーズなど、液晶技術を生かした製品群を販売している。

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改訂新版 世界大百科事典 「シャープ」の意味・わかりやすい解説

シャープ
sharp

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デジタル大辞泉プラス 「シャープ」の解説

シャープ

NHKの子供向けテレビ番組『クインテット』(2003年放映開始)に登場するキャラクター。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

とっさの日本語便利帳 「シャープ」の解説

シャープ

シャープペンシル(創業者が、その考案者)

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

世界大百科事典(旧版)内のシャープの言及

【変化記号】より

…基本音階(ハ長調音階つまりピアノの白鍵に相当)に含まれる音を幹音(かんおん)または本位音といい,これを半音一つまたは二つぶん変化させた音を派生音(変化音,変位音とも)という。変化記号には幹音を半音高くする嬰記号(シャープsharp ♯),半音低くする変記号(フラットflat ♭),半音二つぶん高くする重嬰記号(ダブル・シャープ ),半音二つぶん低くする重変記号(ダブル・フラット ♭♭),それに以上のすべての変化記号の効力を消して派生音を幹音に戻す本位記号(ナチュラルnatural ♮)の5種がある。 変化記号の役割には調号と臨時記号の二通りがある。…

※「シャープ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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