日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュウダ」の意味・わかりやすい解説
シュウダ
しゅうだ / 臭蛇
stink rat snake
[学] Elaphe carinata
爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目ナミヘビ科のヘビ。自衛のために悪臭を放つことが名の由来となっている無毒種。日本では沖縄の尖閣(せんかく)諸島に生息し、国外では中国中部および南部、台湾、インドシナ半島北部に分布する。大形といえるヘビで、全長1.2~2.5メートル。胴背面の体鱗には顕著な隆条がある。背面は褐色または灰褐色で、不規則な暗褐色の横縞(よこじま)模様が並ぶ。幼体は淡褐色または赤褐色に、4条の細い暗褐色の縦縞と細い横帯とがある。平地から低山地にかけての疎林や森林にすみ、行動的で敏捷(びんしょう)である。アオダイショウと同系統のネズミをとるヘビであるが、ネズミ類よりもむしろ毒ヘビを含む他のヘビを好んで捕食する。尖閣諸島では海鳥やその卵、ネズミ、トカゲを餌(えさ)としている。性質はおとなしいが、興奮すると体の前半部を膨らませて身構え、シューッという噴気音(吸い込んだ息を吐き出してたてる音)をたてて威嚇する。このとき体の前半部には白色の帯模様が現れる。また自衛手段として、肛腺(こうせん)から悪臭のする液を分泌する。卵生で、夏に12個ほどの丸みのある楕円(だえん)形の卵を産む。先島(さきしま)諸島の与那国(よなぐに)島産は別亜種で、ヨナグニシュウダE. c. yonaguniensisという。
[松井孝爾]