日本大百科全書(ニッポニカ) 「アオダイショウ」の意味・わかりやすい解説
アオダイショウ
あおだいしょう / 青大将
[学] Elaphe climacophora
爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目ナミヘビ科のヘビ。日本産では最大である無毒のヘビで、北海道、本州、四国、九州、対馬(つしま)、大隅(おおすみ)諸島、伊豆諸島の一部および国後(くなしり)島に分布する。全長1.5~2.5メートルで、計測記録はないが例外的に3メートルほどに達するようである。日本では各地にいわゆる大蛇(だいじゃ)が生息するという俗説が昔からあるが、南西諸島も含め日本では、正しくは本種が最大のヘビである。アオダイショウの幼蛇は灰褐色地に暗褐色の帯状模様が並ぶため、よくニホンマムシAgkistrodon b. blomhoffiと混同されるが、胴も尾も相対的にマムシより細長く、瞳孔(どうこう)が縦長でなくピット(頬窩(きょうか))を欠く点で区別できる。本種は平地から低山地の森林、水辺、耕地にみられ、倉庫や人家にもすみつく。性質がおとなしく、好んでネズミ類を捕食するため、昔から米倉を守るヘビとして「屋敷回り」などとよばれ、保護されてきた。とくに本種の白化型(アルビノ)は神の使いとしてたいせつにされ、山口県岩国市の個体群はシロヘビとよばれて国の天然記念物に指定されている。しかし野鳥や飼い鳥の卵や雛(ひな)を飲むので、目の敵にされる反面もある。飲み込んだ卵は、230個ほどある脊椎(せきつい)骨のうち前から30番目前後の脊椎の発達した下突起で押し割る。7~8月ごろ10~17個ほどを産卵し、60日ほどで孵化(ふか)する。
[松井孝爾]