日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュタインドル」の意味・わかりやすい解説
シュタインドル
しゅたいんどる
Josef Steindl
(1912―1993)
オーストリアの経済学者。ウィーンに生まれ、同地で学位を得た。当初はオーストリア経済研究所に勤務したが、1938年にドイツによってオーストリアが併合されると、ケインズ革命後まもないイギリスへ移住し、オックスフォード大学のベリオル・カレッジの講師になった。続いてオックスフォード統計研究所の所員になり、ポーランドの経済学者M・カレツキなどといっしょに経済分析に従事した。このような事情が背景となって、彼はカレツキの影響を受けた。50年にはウィーンに戻ってオーストリア経済研究所に復帰し、70年にウィーン大学名誉教授の称号を授与された。また74~75年にはアメリカのスタンフォード大学の客員教授も務めた。この間、寡占企業論を支柱にしながら主要国経済の長期停滞問題などに関して幾多の論稿を公表。主著には『小企業と大企業』Small and Big Business(1947)、『アメリカ資本主義の成熟と停滞』Maturity and Stagnation in American Capitalism(1952)、『経済論集』Economic Papers(1990)などがある。
[笹原昭五]
『米田清貴・加藤誠一訳『小企業と大企業』(1956・巌松堂書店)』▽『宮崎義一・笹原昭五・鮎沢成男訳『アメリカ資本主義の成熟と停滞』(1962・日本評論社)』