日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロサバフグ」の意味・わかりやすい解説
シロサバフグ
しろさばふぐ / 白鯖河豚
[学] Lagocephalus wheeleri
硬骨魚綱フグ目フグ科に属する海水魚。鹿児島県以北の日本沿岸、台湾と中国の沿岸および東シナ海に分布する。全長35センチメートルに達する。体の背面と腹面に小棘(しょうきょく)があり、背面の小棘は背びれの起部に達しない。尾びれはわずかに湾入する。体色は背側が緑黄色で、腹側は銀白色。産卵期は5月ごろで、卵は沈性粘着卵。沿岸の底層に生息する。本種は従来サバフグL. spadiceusとされていたが、最近の研究によって別種であることが判明し、名が変更されたものである。本種は無毒で干物にされている。
本種に似た近縁種のクロサバフグL. gloveriは、九州から北海道南部の太平洋側に分布し、西太平洋からインド洋海域でもみられる。この種は体色が全体に暗色で、尾びれの後縁中央部が突出するのでシロサバフグと区別できる。クロサバフグは中層に生息し、日本近海に産するものは無毒であるが、南シナ海に産するものでは肉に弱毒があり、中国では卵巣と肝臓に猛毒をもつといわれている。また、シロサバフグとクロサバフグに似たドクサバフグは、東シナ海以南に分布し、内臓のほか肉にも猛毒がある。
[松浦啓一]