改訂新版 世界大百科事典 「ジェイトゥン」の意味・わかりやすい解説
ジェイトゥン
Dzheitun
Djeitun
トルクメニスタン,アシガバートの北北西約30kmに位置する新石器時代の遺跡。広さ120m×60m,高さ5.5m。1952年以来,南部トルクメニア考古調査隊が発掘にあたり,この地方の初期農耕社会の解明に貢献した。前・中・後期より成ると,V.M.マッソンが考えたジェイトゥン文化のうち,前期文化を最もよく表す。遺跡は5層あるうち,第2層が広く調査された。コペト・ダグ山脈とカラクム砂漠にはさまれたベルト地帯のデルタに位置し,氾濫による原始農耕と家畜飼養に依存していた。30家族ほどが集落1単位を形成,住居は泥塊を積み,壁を泥漿塗装・彩色し,炉をもつ。遺物は波状粗文の土器のほか,スクレーパー,ナイフ,植刃など1057点の石器があるが,打製石斧はなく,石刃が発達していた。物神,護符,土偶の存在が信仰生活を示す。前6000年ころに当てられ,ジャルモ上層文化とほぼ同時期と考えられる。
執筆者:桑山 正進
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報