ジャルモ(読み)じゃるも(英語表記)Jarmo

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャルモ」の意味・わかりやすい解説

ジャルモ
じゃるも
Jarmo

イラク北東部、クルディスターンキルクークの東方約60キロメートルにある農耕村落遺跡。深い涸(か)れ谷の断崖(だんがい)上にある。初期定着農耕時代に比定されるが、この調査によって農耕文明の起源についての問題が、「肥沃(ひよく)な三日月地帯」を中心としておこった。遺跡は16層が検出され、住居址(し)から約200人の人口であったことが推定される。小麦、ヒツジヤギなどの遺物とともに、床面を掘りくぼめた穀物の貯蔵庫とみられるものも発見され、後期にはかまども発見されている。付近から産出しない黒曜石が用いられているので、各地との交易も考えられる。木製の柄(え)にナイフを詰めて鎌(かま)としたものや石臼(いしうす)などがあるため、現在では定着農耕文化の最古のものであるとみられている。ジャルモ式彩文土器とよばれる特徴ある良質の土器が出土し、赤色磨研土器も出ている。発掘者のシカゴ大学のブレイドウッドは年代について、14Cの測定のなかから紀元前6750年を選んでいるが、疑問は残っている。

[糸賀昌昭]

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