大学事典 「ジェンティーレ改革」の解説
ジェンティーレ改革[伊]
ジェンティーレかいかく
イタリアの新理想主義哲学者であり,ローマ大学などの正教授を経て公教育大臣となったジェンティーレ,G.(Giovanni Gentile, G.,1875-1944)による改革(1923年)は,教育行政組織改革や,14歳までの8年間の義務教育年限の延長,科学リチェオの創設などの改革をおこなう革新的なものであったが,学校組織をエリート向けと一般大衆向けに区分するものでもあった。大学に関しては,その法人格とそれに基づく自治権を保障して,教育課程の編成の自由を各大学に認めるなど管理運営の幅を拡大し,大学の自治と教育の自由を認め,試験制度を簡素化するなど積極的な改革を進めた。また彼の理想主義はフランスの高等師範学校のような専門職養成学校を設立し,教養教育を前提とした真理探究の場としての大学と専門職養成の高等教育機関の二重構造をつくり上げようとした。
著者: 児玉善仁
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報