イタリアのローマにある国立大学。13世紀には教皇庁とともに移動した教皇庁大学Studium curiaeがすでに存在していたが,これとは別個に都市大学Studium urbisとして,教皇ボニファティウス8世によって1303年に設立された。しかし,中世大学の特徴を備えた都市大学とはいえ聖職者の管理下に置かれていたし,教会の大分裂などの影響によって当初は弱体であった。15世紀以降,インノケンティウス7世によるフィレンツェ大学に次ぐギリシア語講座の設置やエウゲニウス4世の大学再建によって繁栄し,人文主義隆盛の一翼を担うこととなった。レオ10世の下では教皇庁大学が併合され,大学も固有の建物を持って〈知の館Palazzo della Sapienza〉と称されたが,17世紀には衰退し,18世紀のベネディクトゥス14世の改革によって一時復興された。しかし,ボローニャ大学などに比べて副次的重要性しかもたなかったこの大学が,多少なりともイタリアの中心的大学として位置づけられるのは,イタリア統一以後に政府が改革を行ってからのことである。ことにファシスト政府は科学教育の要請にこたえうる環境を付与するために,1935年に建設した大学都市città universitariaに大学組織を集中整備した。1996年現在,法学,政治学,経済学・商学,人口・統計学,文学,教育学,理学,工学,建築学,医学,薬学,航空学,図書館学などの学部を有し,教員約4300人と学生約19万人を擁している。
執筆者:児玉 善仁
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
イタリアのローマにある国立大学。1303年教皇ボニファティウス8世(在位1294~1303)によって、市の大学Studium urbisとして設立された。当初から法学と教養諸学科の教育で知られたが、全般的には振るわず、1431年教皇エウゲニウス4世Eugenius Ⅳ(1383ごろ―1447、在位1431~1447)が大学の再建に乗り出した。その後も政治的動揺などの理由により、大学の発展はしばしば停滞した。同大学が本格的にイタリアの中心的大学としての地位を獲得したのは、1861年のイタリア王国の成立以後であるとされている。その後1935年にはテルミニ駅近くに建設された大学都市Città Universitariaに移転した。法学、政治学、経済学、人口・統計学、文学、心理学、理学、社会学、工学、建築学、医学、薬学の12学部と、航空宇宙工学および学芸員・司書養成の二つの専門学校をもつ。付属研究施設としては国立高等数学研究所などがある。1960年代の急激な高等教育拡張の結果、専任教員数約4060人、学生数約16万人(1997)を数え、同国最大の高等教育機関となっている。
なおローマには、ほかにも二つのローマ大学があり、それぞれ名称を“Tor Vergata”“Tre”といい、まったく別の大学である。イタリアの国立大学は、所在する都市名が名称として付けられる。ローマの場合は、三つの大学の名称が重なるので、さらに細かい地名や設立された順番を付け加えて区別している。本項のローマ大学の名称に付けられている“La Sapienza”は、ローマ中心部の地名である。
[伊藤彰浩]
ローマにある国立総合大学。13世紀に存在した教皇庁大学(イタリア)とは別に,1303年に教皇ボニファティウス8世が都市大学として設立。聖職者が管理したが,当初は弱体であった。15世紀以降に教皇によるギリシア語講座の設立など大学復興がなされ,人文主義隆盛の一翼を担った。レオ10世の下で教皇庁大学が併合され,大学も固有の建物を持って「知の館(イタリア)」(Palazzo della Sapienza)と称された。このため,現在でもラ・サピエンツァ(イタリア)と呼ばれる。17世紀には衰退し,18世紀のベネディクトゥス14世の改革によって一時復興された。歴史的には副次的重要性しか持たなかったが,イタリア統一以後に中心的大学として位置づけられ,ファシスト政府は1935年に大学都市と呼ばれる一帯に大学組織を集中させて整備した。第2次世界大戦後は首都の大学として全国から学生を集めて学生数が増大したため,1982年に第二ローマ大学(イタリア)トル・ヴェルガタ(イタリア),91年に第三ローマ大学(イタリア)が新設されている。ラ・サピエンツァだけで2011年には63学科,11学部,正教授1012人,准教授1084人,研究員1903人で,2015/16年の登録学生数約11万2500人を擁する。
著者: 児玉善仁
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新