改訂新版 世界大百科事典 「ジャクソンカメレオン」の意味・わかりやすい解説
ジャクソンカメレオン
Jackson's chameleon
Chamaeleo jacksonii
雄が3本の角状突起をもつ爬虫綱カメレオン科のトカゲ。全長約30cm。尾はその1/2強である。東アフリカのケニア・タンザニア地方の高地に分布する。樹上にすみ,おもに昆虫類を捕食する。角状突起をもつのは雄のみで雌はこれを欠き,あたかも別種のように見える。〈角〉は角質の鞘に覆われた骨質で,頭骨の一部が変形したものであり,両眼の間に2本,吻端(ふんたん)に1本が突き出ている。〈角〉は雄のなわばり争いや侵入者との戦いに用いるが,また頭部の輪郭をぼかして,敵の攻撃をそらせる役割をも果たしている。実験によれば,カメレオンの角状突起や頭部のかぶと状の飾りが,雄の攻撃行動を誘発しているようで,頭部だけのモデルに対しても攻撃をしかける。卵胎生で樹上の葉や枝に子を産みつけるが,雄の子にはすでに小さな突起が認められる。
→カメレオン
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報