日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジョフレ・リュデル」の意味・わかりやすい解説
ジョフレ・リュデル
じょふれりゅでる
Jaufré Rudel
生没年不詳。12世紀中期の南フランスの吟遊詩人(トルーバドゥール)。ボルドーに近いブライユの城主prince de Blaye。第二次十字軍に参加。現存する6編の詩のうち、3編は「はるかな恋人」を優雅に歌い、他の3編は「淫蕩(いんとう)な」内容を写実的に歌った作品。古来多くの詩人たちに限りない詩泉を提供したリュデルにまつわる美しい「伝記(ビダ)」vidaは、13世紀の伝記作者が、リュデルの作品にうかがわれる純粋な宗教的動機による詩人の十字軍参加の決意を、「はるかな恋人」を歌った詩にみるプラトニックな恋愛観によって粉飾したものである。
[杉冨士雄]