日本大百科全書(ニッポニカ) 「スエイドス」の意味・わかりやすい解説
スエイドス
すえいどす
Harvey Swados
(1920―1972)
アメリカの小説家、評論家。ニューヨーク州バッファローでユダヤ系の医者の家に生まれる。第二次世界大戦後一貫して社会主義者の立場を鮮明にしながらじみな作家活動を続け、1930年代の革命文学を戦後アメリカで継承した希有(けう)な存在。代表作とみなされる小説『揺(ゆる)ぎなき立場』(1970)では、トロツキー派に属する一群の人々の生き方を、第二次大戦を経てケネディ大統領暗殺に至る30年間を通じて描いている。小説にはこのほかに『贋金(にせがね)』(1959)や、死後出版された『祝い』(1975)などがある。短編作品も多い。ほかに『ある革命家のアメリカ』(1962)などの評論集、編著『アメリカ作家と大不況』(1966)など。
[村山淳彦]