スカマンドロス(その他表記)Skamandros

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スカマンドロス」の意味・わかりやすい解説

スカマンドロス
Skamandros

ギリシア神話に出てくる,トロイ市の近くを流れる河とその河神の名。水に髪や羊毛黄金色にする力があったことからクサントス (黄金色) とも呼ばれ,アフロディテパリス審判を受ける前に,その水で髪を洗ったといわれる。トロイ王家の始祖テウケルは,この河神がイダ山ニンフのイダイアによってもうけた子とされる。トロイ戦争で,一度はトロイ方のためアキレウスを溺死させようとしたが,ヘファイストスの火の力に脅かされて降参し,以後中立を保ったという。

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世界大百科事典(旧版)内のスカマンドロスの言及

【水神】より

…水はあらゆる生命の生成と存続にとって不可欠の存在であるところから,世界各地においてそれ自体が超自然力を保持するものとみなされる例は多く,さらに水(雨,海洋,河川,井戸など)をつかさどる独立の神格が崇拝される例も多い。トロイア人がスカマンドロス川Skamandrosの聖なる力を信仰し,牛や馬を供犠として深みに投じたことや,ガンガー(ガンジス川)が清浄力をもつとされ,古代から現代にいたるまで沐浴する者が後を絶たず,遺骨が投棄されることはよく知られている。水を支配・統御する独立の神(霊)として有名なものにシュメールの水神エンキ(バビロニアではエア),アッカドにおける雨の神としてのアダドまたはハダド,エジプトのナイル川を支配する神のハピHapi,さらに,ギリシアの海洋神ポセイドン,ローマの海神ネプトゥヌス,インドをはじめ日本も含むアジア各地で崇拝されている水神ナーガNāga=竜神などがある。…

※「スカマンドロス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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