日本大百科全書(ニッポニカ) 「すぐき漬け」の意味・わかりやすい解説
すぐき漬け
すぐきづけ
京都上賀茂(かみがも)近辺のスグキナを塩漬けして発酵させた漬物で、京都の名産品である。酸味と特有の香りが高い。スグキナはカブの変種で、根は倒円錐(えんすい)形で糖分の含量が多い。11月上旬から12月下旬にかけて収穫したスグキナはすぐ葉付きのまま皮をむき、皮がむき終わったらすばやく塩漬けする。翌日引き上げてさらに塩で10日ほど本漬けする。この際、てこを利用した強い重石(おもし)をかける。出荷前に35~40℃に加温した室(むろ)に入れて1週間前後発酵させる。この方法は、需要が増えてきたために考案された速成法である。本来は、3~4か月かけて自然発酵させたもので、時間はかかるが風味が優れている。昔は茎も根も淡黄色になったものを花見時に珍重したが、近年は新年用として年末にも多く出回っている。
[河野友美]