日本大百科全書(ニッポニカ) 「スコボロダー」の意味・わかりやすい解説
スコボロダー
すこぼろだー
Григорий Саввич Сковорода/Grigoriy Savvich Skovoroda
(1722―1794)
ウクライナの哲学者、詩人。コサックの家庭に生まれ、キエフ(現、キーウ)で教育を受けた。青年時代にロシア帝国の首都ペテルブルグ(現、サンクト・ペテルブルグ)や西欧諸国を旅行し、啓蒙(けいもう)主義的思想を身につける。ギリシア、ラテンの古典語やヘブライ語にも堪能(たんのう)で、古代哲学と聖書に深い造詣(ぞうけい)があった。しかし教会制度に批判的な態度をとったため、聖俗の権力から迫害を受け、地方の神学校で一時教職についたほか、後半生を漂泊のうちに送った。人間の幸福の根源は労働にありとして、権勢欲や驕奢(きょうしゃ)を憎んだ彼の倫理観は、詩の形をとった『ハリコフ寓話(ぐうわ)集』などのなかに反映している。
[中村喜和]