改訂新版 世界大百科事典 「スターペル」の意味・わかりやすい解説
スターペル
Frederik Willem Stapel
生没年:1879-1957
オランダのインドネシア植民史学者。1908年にライデン大学を卒業し,中学校教員としてオランダ領東インド(現,インドネシア)各地で09年から25年まで勤務し,また20-25年にはバンドンの国民高等学校でも教育に従事した。その間22年にライデン大学で学位を取り,32-44年にはアムステルダム大学講師として植民史を講義した。植民史に関する著書・論文は多数あり,とくに5巻本の《オランダ領東インド史》は,彼が全巻を編集するとともに,その第3巻,第5巻を執筆した。概説書も2種出版している。史料集の編集に力を注ぎ,ピーテル・ファン・ダムの《東インド会社誌》の復刻出版と,《オランダ領東インド外交文書集》とは現在も価値を失わない。あまりにオランダ中心的な彼の史観は,今日ではそれほど高く評価されないが,オランダ植民史研究を語る場合,彼を無視することはできない。
執筆者:永積 昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報