日本大百科全書(ニッポニカ) 「バンドン」の意味・わかりやすい解説
バンドン
ばんどん
Bandung
インドネシア、ジャワ島西部の都市。西ジャワ州の州都。人口約265万7600(2001推計)、252万5220(2018推計)。ジャカルタの南東120キロメートル、周辺をタンクバン・プラウ、パトハ、マラバル、グントールなど2000メートル以上の火山に囲まれる標高平均700メートルのバンドン高原の中央やや北寄りに位置する。かつては湖底であったが、排水されて現在の盆地的地形を形成したという。高度が高いので年平均気温は22.3℃、朝夕は冷気を感ずる。このため、低地の暑熱に悩むジャカルタのオランダ系市民にとって快適な居住地として、20世紀初頭から開発が進められた。熱帯の美しい植民都市の典型として、「ジャワのパリ」の別称さえ与えられた。
市は中心の駅を挟んでほぼ南北に二分される。北側の高燥地には官庁、学校、住宅が建ち並び、バンドン工科大学、国立パジャジャラン大学、鉱山局、地質調査所、パスツール研究所などがあり、ジャワ学術研究の中心を形成する。駅の南側は商店街で、ショッピングセンターのブラガ通りは有名である。また1955年の第1回アジア・アフリカ会議(バンドン会議)開催後、アジア・アフリカ通りと改名された新しい商店街もある。バンドンはスンダ人居住の中心地として、中部ジャワ文化とは異なるスンダ文化の伝統を保っており、アンクルン音楽やワヤン・ゴレック(木製のワヤン人形)などで知られる。周辺の高原は水田がよく開かれ、規那(キナ)、茶の農園などもある。
[別技篤彦]