日本大百科全書(ニッポニカ) 「ステップ・ロード」の意味・わかりやすい解説
ステップ・ロード
すてっぷろーど
Step road
モンゴリアや南シベリアのステップ地帯を経て、中国の華北と黒海北岸とを結ぶ交通路。いわゆる「草原の道」。このステップ地帯では、古来遊牧民族が興亡し、この路(みち)を経て移動が繰り返された。紀元前一千年紀には、西方にスキタイ、サルマタイ(サルマート)などが、東方に匈奴(きょうど)、月氏(げっし)などが興り、一部の匈奴はやがて西遷している。後一千年紀には、西方にフン人(一般には匈奴の西遷したものといわれる)が、東方に鮮卑(せんぴ)、柔然(じゅうぜん)やエフタルなどのトルコ人が活躍した。13世紀にはモンゴル人がステップの覇者となった。この路は文化伝播(でんぱ)の路でもあり、古くはスキタイなどの西方の騎馬文化や動物文様が東遷し、匈奴へ、さらには中国までも伝わった。また13世紀にはカルピニらのヨーロッパのキリスト教使節がこの路を経てモンゴリアに至っている。
[片桐 功]