スピリット洞窟(読み)スピリットどうくつ(その他表記)Spirit

改訂新版 世界大百科事典 「スピリット洞窟」の意味・わかりやすい解説

スピリット洞窟 (スピリットどうくつ)
Spirit

タイ北西部のミャンマー国境に近い,メ・ホンソン県メイ・サンナム村付近に所在する洞窟遺跡で,パイ川支流のコン川西岸の石灰岩崖に位置する。1966年にチェスター,ゴーマンが発掘調査を行った。下部の第4・3・2a・2層を文化層Ⅰとし,生活面かとされる2層上面と1層を文化層Ⅱとしている。Ⅱはホアビン文化に属し,大型粗製で片面加工の礫器,磨石(すりいし),二次加工を施した使用痕のある剝片石器が主たる遺物である。ⅠはⅡと同様の遺物が引き続いて発見されるほか,敲打(こうだ)し一部を磨研した方角斧やその半製品,小型で磨研した粘板岩のナイフ,縄蓆文および磨研した土器が出土した。炭素14法による測定では,Ⅰは11690-9455B.P.,Ⅱは7622±300B.P.の年代が得られている。キュウリヒョウタンヒシマメ等の植物遺存体の発見による植物栽培の存在,ホアビンの石器と土器の共伴に関しては現在では否定的な見解をもつ学者が多い。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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