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泥岩あるいは頁(けつ)岩が弱い変成作用を受け片理がよく発達したために、片理に沿って薄く板状に割れやすい性質をもつ泥質の岩石。スレートともいう。厳密には変成岩であるが、再結晶の程度がきわめて弱く細粒であるために、堆積(たいせき)岩として取り扱うこともある。一般に暗灰色から黒色で、凝灰質のものでは赤紫色や緑色を呈する。中・古生層の泥質岩に多い。石質は緻密(ちみつ)で硬く湿気を吸収することが少なく、薄板として採石しやすく、また割れた表面に凹凸が少ないために、屋根瓦(やねがわら)、石盤、硯(すずり)、敷石、石碑などに利用される。粘板岩の石材としては、剥離(はくり)性に富み平らな薄板状になるものに宮城県女川石(おながわいし)があり、あまり剥離性が発達せず大材として採石される宮城県石巻(いしのまき)市産の井内石(いないいし)がある。碁(ご)石の黒石として有名な那智黒(なちぐろ)も、黒色粘板岩である。
[斎藤靖二]
泥岩あるいはケツ岩が弱い広域変成作用をうけて剝離性が発達した片状細粒岩。スレートともいう。変成作用が進んで強く再結晶や剝離性が発達したものは千枚岩という。ケツ岩の剝離性は粘土鉱物や雲母類が圧縮されて平行に並び換わることによって起こるので,一般に層理面に平行であるが,粘板岩の場合には機械的変形が著しく,剝離面は層理面と無関係に発達している。しかし,剝離性の発達したケツ岩は粘板岩と呼ばれることが多い。粘板岩では変成作用による再結晶はほとんど認められないので,これを堆積岩の一種とみなしてもよい。粘板岩は石英,長石,絹雲母,緑泥石などからなり,剝離性は絹雲母や緑泥石の定向再配列によって起こる。日本の古生代や中生代の泥質堆積岩の大部分は広い意味で粘板岩と呼ばれている。屋根瓦や石碑,また砥石,硯として利用される。雄勝(おがつ)石(宮城県),雨畑石(山梨県),赤間石(山口県),那智石(和歌山県)などが有名。
執筆者:徳岡 隆夫
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…1/16mm以下の砕屑物質を主とする岩石を泥岩と呼ぶが,泥岩のうちで,本のページを重ねたようにみえ,剝離性を有するものをケツ岩と呼ぶ。さらに剝離性が発達すると粘板岩(スレート)と呼ばれる。剝離性は岩石が風化するとよく現れる。…
…例えば,変成岩の主成分鉱物が石英と白雲母であれば石英‐白雲母片岩と,また,変成岩の元来の化学組成上の性質を参考にして,例えば泥岩質の変成岩ならば泥質片岩pelitic schistというようによばれる。結晶の大きさが小さく片状組織もよく発達していない一群の変成岩は千枚岩とよばれ,さらに片状組織が弱いものは粘板岩(スレート)とよばれる。一方,変成度が高くなると,片状組織は弱いが結晶粒が大きく縞状組織をもつ片麻岩になる。…
…緑色の地に白の方解石の脈が網目状に入る蛇紋岩は,成因は異なるが装飾用石材として大理石の一種に扱われている。(6)その他の岩石 このほか粘板岩や結晶片岩など,板状節理を持つ石の屋根材,敷石,張石としての利用は,外国では別に珍しくはないが日本ではまれで,宮城県の雄勝石(おがついし)がほとんど唯一の例である。この石はまた,すずり石としても利用されている。…
※「粘板岩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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