スフール(その他表記)Skhul

改訂新版 世界大百科事典 「スフール」の意味・わかりやすい解説

スフール
Skhul

イスラエルのハイファ近郊,カルメル山にある岩陰遺跡およびそこで発見された人骨の名称。1929-34年にギャロッドD.GarrodとマカウンT.D.McCownにより発掘が行われ,約10体の骨格が発見された。当初は進歩的なホモ・ネアンデルタレンシスと見なされ,年代は4万年前ほどと推定された。しかし,後に初期ホモ・サピエンスと見なされ,年代も88年に熱ルミネッセンス法により,人骨の出土層が12万~8万年前と推定された。骨格は意図的に埋葬されており,5号成人男性人骨ではイノシシ下顎骨が胸に添えられ,1号小児人骨は無理に折り曲げた姿勢だった。出土石器はルバロワ・ムスティエ文化のものであり,初期ホモ・サピエンスがホモ・ネアンデルタレンシスとも共通する中期旧石器時代技法を使っていたことがわかった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android