改訂新版 世界大百科事典 の解説
スペクトロヘリオスコープ
spectrohelioscope
スペクトロヘリオグラフの撮影部に目を置いて,単色の太陽像を眼視観測ができるようにした装置。1924年G.E.ヘールによって考案された。太陽像を高速に移動させ,目の残像によって太陽面の一部の単色像を見ることができる。スペクトロヘリオグラフの第1と第2スリット前面に,角柱プリズムを置き,回転させる。プリズムの1回転に対し,角柱プリズムに入射した部分の太陽像は4回左右に移動を繰り返す。回折格子により所定の波長光を第2スリットに当てると,その波長の太陽像が第2スリットに生ずる。像反転プリズムを使用しているので角柱プリズムの回転による第2スリット位置も第1スリット前の太陽像と同期して移動する。角柱プリズムを回転することは,いわば太陽像と目に対し,分光器を高速に移動させる働きとなり,角柱プリズムに入射した太陽像を単色の像として見ることができる。
執筆者:日江井 栄二郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報