太陽の単色像を撮影する装置。1890年ころG.E.ヘールによって考案された。分光器をモノクロメーターとして使用することにより,太陽スペクトルのうち任意の波長の単色光のみを通過させて太陽像を撮る。実際には,分光器のスリット上に生じた太陽像と,射出スリットに置いたカメラとを連動させ,移動させながら撮影する。リヨ・フィルターを使って全面を同時撮影するのとは異なり,撮影された太陽像は同時ではない。しかし,単色波長の純度や,撮影波長の選択ができるので,太陽光球や彩層の構造,速度場,磁場の観測には欠かせない。極紫外域では,輝線が多数でないので,凹面回折格子のみを使うことにより,同時に多くの波長の単色像が撮れる。スカイラブに搭載したスペクトロヘリオグラフは,彩層やコロナ中で起こる活動現象をとらえることができた。スペクトロヘリオグラフの原理を図に示す。対物レンズにより分光器の第1スリット面上に白色光の太陽像をつくる。第1スリットの短冊型の間隙(かんげき)を通った太陽像のみが各波長ごとに分かれて第2スリット面に単色像をつくる。回折格子を回転し,所定の波長光を第2スリットに当てるようにすると,カメラ部では第1スリットに相当する短冊型の太陽の単色像を撮影することができる。このようにしてレールに沿って分光器を移動させると短冊型の太陽の単色像を撮影することができる。このようにして短冊型の像が次々に重なり,カメラには太陽全面の単色像が得られる。第1スリットの幅は太陽像の幾何学的な分解能を決め,狭いほど細かな模様まで撮れるようになる。第2スリットの幅は波長の分解能を決め,狭いほど単色の純度がよくなる。
執筆者:日江井 栄二郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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分光器を用いて太陽の単色像を撮影する装置。
[日江井榮二郎]
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